築100年超え古民家の壁DIY

コロナ禍で働き方や暮らし方を見直す人が増える中、夫婦で築100年超えの古民家を購入してDIYしながら暮らしはじめました。地方移住や古民家暮らしにあこがれる人も多いと思うのですが、気になるのが「住宅の修繕」ですよね。地域の気象特性によって修繕が必要な箇所が異なる場合があるので、物件の内覧をする際には以下のような点に注意が必要です。

・雨や風の影響を受けやすい地域では、屋根や壁がはがれて雨漏りやシロアリの被害がないか確認
・雪や凍結の影響を受けやすい地域では、雪の重みで躯体がゆがんだり水道管が割れていないか確認

今回は修繕の中でも大きな面積を占める「壁の修繕」について、ご紹介します(この記事の写真はすべて同じ場所を同じアングルから撮影して修繕のプロセスがわかるように掲載しています)。


01 壁をキレイに掃除する

多くの古民家は人が住まない状態が長く続いているので、家具・家電・寝具などの多くの残置物がそのままになっています。さらにカビやホコリなどが多く付着しているので、まずは掃除をしてキレイな状態にしましょう。

・必要ない残置物は捨てる
・カビやホコリをしっかり拭き取る
・換気を行い空気を常に入れ替える

などをおろそかにすると、壁を塗装した際にアクが強く浮き出てしまったり、余計なものにペンキや漆喰が付着してしまうなど、スムーズに塗装作業が進まないこともしばしば。はやる気持ちを抑えて、しっかり下準備をすることが大切です。

残置物を片づけて部屋をキレイにした状態にする


02 床が汚れないように養生して下地のアクどめを塗る

片づけや掃除が終わったら、マスキングテープとマスカーテープ(透明なシートがついたテープ)を使って、床が汚れないように養生をしていきます。この作業、本当に面倒くさくて適当にやってしまいたくなるのですが、養生が甘いと後から後悔してしまうことも・・・。筆者は養生が甘く、床や窓ガラスに塗料がかかってしまい、あとから落とすことができず後悔しました。

養生は地味で面倒くさい作業なのですが、美しい壁をつくるためにしっかり取り組みましょう。ポイントは以下の3つ。

・マスキングテープを壁の端を沿うように貼る(幅が太めのものがおすすめ)
・そのうえからマスカーテープをしっかり押さえながら貼る
・マスカーテープの養生シートを広げて床や壁を保護する(隙間から塗料が漏れないように注意)

養生が完了したら、アクが出てこないようにアクどめ(シーラー)を塗りましょう。特に古い木材や土の壁はアクが浮きがちです。2度塗り3度塗りしてアクが浮いてこないように丁寧に施工するのがコツです。

梅雨の季節や冬で気温が低いと、塗料の乾きが遅いので余裕を持って作業するのがポイントです。なるべく窓を開けて換気扇や扇風機などで、外の空気を常時取り込みながら作業しましょう。

床にペンキや漆喰がつかないようにしっかり養生する


03 ペンキや漆喰で壁を塗る

下地のアクどめを塗り終えたらいよいよ仕上げ材を施工していきます。安価に仕上げたい場合は「壁紙・ペンキ」がおすすめ。自然の素材を使いたい場合は「漆喰・珪藻土」がおすすめです。


安価に仕上げたい場合
・壁紙
・ペンキ

自然素材を使いたい場合
・漆喰
・珪藻土

漆喰や珪藻土は調湿性能(ジメジメ湿っているときは空気中の水分を吸い、カラカラ乾燥しているときは水分を放出する)があるので、湿気やカビが気になる人にはピッタリの素材です。特に梅雨〜台風シーズンに「大雨・高波・高潮・河川の氾濫による浸水が発生しやすい地域」の方はぜひ使ってみてください。

ただし、漆喰や珪藻土はまとまった量を使う場合高価になになるのが欠点です。練りずみでバケツに入ったタイプの商品は1万円を超える場合が多いんですよね。手間がかかり体力的にも大変ですが、大量に使用してコストを抑えたい人は、粉状の商品を購入して自分で撹拌機を使って混ぜるとお得です(筆者も粉状のものを自分で混ぜて施工しました)。

ペンキや漆喰を丁寧に塗る


04 移動させた家具などを元に戻して完成

壁の塗装が終わったら、マスキングテープとマスカーテープを取り除きます。漆喰や珪藻土を施行する場合は、完全に乾いてしまうとテープが剥がしづらくなってしまうので、アクが浮いていないかを確認しながら、少し生乾きの状態で取り除くのがポイントです。

壁の塗装完了後は床の施工を行い、家具や家電を配置して完成です。掃除をする時と同じで、DIYをするときは、上から順番に施工するとスムーズに修繕を終えることができます(屋根・天井 → 壁 → 床)。

DIYはうえから順番にすすめるとスムーズ(屋根・壁・床)


05 移住して古民家の壁を修繕するポイントまとめ

田舎移住や古民家リノベーションにあこがれる人は少なくありませんが時間もお金もかかるのが現実です。今回は「床の修繕」についてお伝えしてきましたが、特に「台風などによる大雨・高波・高潮・河川の氾濫による浸水が発生しやすい地域」では

・壁をキレイに掃除する
・床が汚れないように養生して下地のアクどめを塗る
・漆喰や珪藻土で壁を塗る
・移動させた家具などを元に戻して完成

といった手順を踏んで壁の修繕をするのが快適な生活を持続的に送るための大切なポイントになります。事故や怪我に気をつけながらコストをおさえてオリジナルの壁をDIYしてみてはいかがでしょうか?

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 貧乏写真家夫婦が自力で築100年の古民家をDIYした話(壁編)