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風が身に沁みる寒さの日が続いています。
旧暦に基いた「二十四節気」では、今年は1月6日が本格的に寒さが増す「小寒(しょうかん)」で、1月20日には一年で最も寒さが厳しい頃と言われる「大寒(だいかん)」を迎えます。
2月4日が「立春(りっしゅん)」となり、小寒から立春の前日までを「寒の内」や「寒中」と呼んで、一年で最も寒さが厳しい時期とされています。
この時期は、シベリア大陸にたまった冷たい空気が周期的に日本付近まで南下し、大雪や極寒をもたらします。寒気は、強まったり弱まったりとまるで波のように押し寄せてくるためこの大気の流れを「寒波」と呼びます。
この冬もすでにクリスマス寒波や正月寒波の影響で、大雪となった地域もありました。
天気予報には、必ずブレが生じてしまいますが、寒波の流れを知るなど、早めに寒さや雪に備えることはできます。
大事な予定がある日に前もって備えができるように、日頃からしっかりと天気予報を確認する習慣をつけておくと良いでしょう。
長時間行うスポーツの1つにマラソンがあります。これから春に向けて大会に参加する予定がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に気温が下がりやすい冬から春に向けて、マラソン大会当日に気をつけていただきたいのが「低体温症」です。
あいち小児保健医療総合センターの水野光規(みずの・みつのり)医師にお話を伺ったところ、「低体温症」とは、気温や風、雨などの影響から、体の中心部の温度が35度を下回ることです。
吐き気やめまい、不整脈が起きることもあります。冬から春にかけて、特に気温が低く、風が強い日は要注意です。皮膚の表面温度が下がり、体の中心部の体温が急降下するおそれがあります。気象条件が悪い中、マラソンなど長時間行うスポーツは、それだけ低体温症になるリスクが高まります。
スポーツに一生懸命になっていると、なかなかその気象の変化に気づきにくいこともあります。例えば、走っていると、体は熱を発し続けているように感じます。でも、実際だんだん疲れて走るペースが落ちてくると、その状況の中で寒さが厳しくなるなど悪天候になった際に、体の表面から体の中心部へ体温が下がり続けることがあるということです。
走ることに一生懸命になることで、体調の変化にも気づきにくくなることがあるため、どんな状況下でも、つい無理をしてしまうマラソン大会当日は、特に注意が必要になってきます。
実際にマラソン大会中に、多くの方が低体温症になってしまった例がいくつかあります。
東京マラソンの第1回目大会となった東京マラソン2007は2月18日(日)に開催され、午前9時頃のスタート時から冷たい雨が降り続き、気温は5℃から6℃くらいで経過しました。
この時、私も初めてのフルマラソンに参加していましたが、レースの途中で寒さで冷え固まった足が動かなくなり、何度も体が少しでも温まるように中断してストレッチを行い、震える寒さの中での大会となったのを最近のことのように覚えています。
その3年後の第4回目大会となった東京マラソン2010は2月28日(日)に開催され、午前9時頃、みぞれが降る中でのスタートとなるなど、第一回大会にも増して極寒の大会となりました。
どちらも「南岸低気圧」によるものでした。
名古屋ウィメンズマラソン2013は、3月10日(日)に開催されましたが、レース中に「寒冷前線」が通過しました。スタート時は気温15℃くらいだったのが、冷たい雨で気温が急降下し、午後には10度を下回る寒さになりました。その上、冷たい突風も吹いたために、低体温症で52名が救護所に立ち寄りました。
マラソン大会やスポーツ大会など、日程が決まっていて天気が選べない場合、悪天時の大会は事前に対策を考えておく必要があります。
大会に参加される方は、必ず天気予報を確認しておきましょう。直前であれば、レース中の1時間毎の予報を参考にして、備えておくと良いでしょう。
最低気温はほとんどの場合は未明から朝に出るものですが、時には日中が一番低くなる場合もありますので、時系列予報を確認されることをおすすめします。
また、これから春に向けてのマラソン大会のレース中に、天気が急変することもあります。
急な寒さにも備えられる対策として、「手袋」をつけるのが良いでしょう。
血管の多い手のひらを覆うことで、熱を逃げにくくし、体温をある程度調整しやすくなります。ポーチやウェアのポケットにも収納しやすく、そのようなものがない場合でも、腰に挟むことができます。フルマラソンの長いレース中でも、つけたり外したり調節がしやすいので便利です。
その他、ウィンドブレーカーやアームウォーマー、レッグウォーマーなどを使用して寒さ対策をする方法もあります。マラソン大会当日は、走り慣れたランナーも、自分に合った方法で防寒対策を行って、少しでも快適に良いコンディションで走れるように備えておきましょう。