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安全に登山を楽しむにはまず、トレッキングポール選びがとても重要になります。まず悩むのがグリップ形状ですが、しっかりとした登山を楽しみたいなら「I字型」、里山などのハイキングコースがメインというのであれば「T字型」と、使用する場所に応じて選びましょう。
長さは「身長×0.63」で選ぶのが一般的。身長が170cmなら「170×0.63」で、トレッキングポールの長さは107.1cmということになります。ほとんどのトレッキングポールは長さを調整できますので、自分に適した長さに調整できるトレッキングポールを選んでください。
ちなみにトレッキングポールは、上りは短く、下りは長くすることで体への負荷を下げられます。このため、「身長×0.63」に対して±10cmの調整ができると理想です。また、調整しやすさも重要で、実際にショップで使い勝手も確認した上で購入してください。
気をつけてもらいたいのがネットショップなどで売られている格安のトレッキングポールで、商品によっては耐久性が低くて、登山しているときに折れてしまうこともあります。自分で安全性を判断できない場合には、信頼できるメーカーのトレッキングポールを購入しましょう。
実際にトレッキングポールを使うときに気をつけたいのが、どこに突くのかということです。トレッキングポールは、自分の体の外側に突くのが基本。体の内側に突いてしまうと、自分の足に引っ掛かってバランスを崩してしまうこともあるので注意してください。
右足を出したときには左手に持ったトレッキングポールを、左足を出したときには右手に持ったトレッキングポールを、出した足と並行になる位置の少し前に突いてください。最初は慣れないかもしれませんが、無意識にできるようになるまで公園などで練習しておきましょう。
狙ったところに突けるようになることも重要です。トレッキングポールは点で支えるため、安定感の高い場所を狙って突くのが基本。このとき自分の狙った場所に突けないと、先端を滑らせてしまい、バランスを崩して転倒なんてことも考えられます。
トレッキングポールの弱点は両手がふさがることで、転倒しないためにとても有効なアイテムではありますが、転倒したときに手でバランスを取ったり、体を守ったりすることができません。トレッキングポールを使ったがゆえにケガをすることもあるということを、頭に入れておいてください。
トレッキングポールの使い方として、初心者がよくやる間違いのひとつが、トレッキングポールに体重をかけてしまうというものです。たとえば下山するときに大きな段差があった場合、先にトレッキングポールを前方に突いて、そこを支えにして足を出す人がいますが、これは絶対にNG。
何度も繰り返しているとトレッキングポールが折れてしまう可能性がありますし、何よりもトレッキングポールの先端が滑ったときに、大ケガをするおそれがあります。トレッキングポールはあくまでもバランスを取るためのもので、上るのも下るのもメインは自分の足です。
トレッキングポールに頼ると、腕が疲労してくるという問題もあります。腕を普段から鍛えている人なら問題ないかもしれませんが、ずっと体重をかけていると、翌日にひどい筋肉痛になって仕事や日常生活に支障をきたす可能性もあります。
トレッキングポールはあくまでもサポート。もちろん、慣れてきて筋肉もついてきたら、推進力を生み出すのに使うこともできますが、それは中上級者向けの使い方です。安全に登山を楽しみたいなら、トレッキングポールに体重をかけないように気をつけてください。
トレッキングポールを使いこなせるようになると、登山が格段に楽になるのですが、そうなってくると今度は、本来はトレッキングポールが必要でないような場所でも、ポールを突いてしまうようになります。
それくらいならまだいいのですが、トレッキングポールがないほうが安全な岩場でも、トレッキングポールを使って上り下りしてしまう人がいます。トレッキングポールは万能アイテムではなく、使う場所を選ぶアイテムです。きちんと使いどころを見極めたうえで活用してください。
また、ずっとトレッキングポールを使っていると、足腰の筋肉やインナーマッスルを鍛えられないという問題もあります。そもそも登山をする目的が、足腰を鍛えるはずだったのに、トレッキングポールを使って楽をしたら、その効果が下がってしまいます。
もちろん用途に応じて使うのはいいことですが、必要のないシーンでは折り畳んでザックに収納しておきましょう。基本的にはトレッキングポールを使わずに上れる山で鍛えて、筋力が上がってきたら、登山する山の難易度を上げるというのがおすすめです。
難易度を上げたときのリスク回避や、安全性の確保に使うのはもちろんOK。そのときに、間違った使い方をすると危険ですので、まずはここでご紹介した方法を参考にして、正しく使いこなせるようになっておきましょう。