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クールビズが開始された当初、想定していた実施期間は6月1日~9月30日までの3ヶ月間でした。
実際の実施期間は年度によって異なることもありますが、おおむね5月1日あるいは6月1日~9月30日までの3~4ヶ月間にわたって実施されていました。
ただ、令和3年度からは以下の点を理由に、全国一律の実施期間を設定せず、個々の事情に応じた多様な取り組みを推奨しています。[注1]
1. コロナ禍による働き方の多様化
2. 気候変動の影響と考えられる季節外れな暑い日の増加
3. 地域による気候の違い
4. 個々のライフスタイルの脱炭素型への転換
4については2050年カーボンニュートラルの実現において必要不可欠な要素として掲げられており、特定の期間のみクールビズに徹するのではなく、日常的に脱炭素化に取り組むことを求められています。
なお、クールビズの実施期間は設けられませんが、環境省は例年5月~9月末までを目途に、クールビズへの集中的な取り組みを呼びかけています。
そのため、企業でも例年5月~9月末をクールビズ期間とし、独自の取り組みを行っているところが多いようです。
クールビズが始まったのは平成17(2005)年度のことです。[注2]
政府が地球温暖化対策の一環として提唱したもので、過度な冷房に頼らず、軽装によって冷房を節約することで、夏を快適に過ごすライフスタイルの実現を目指します。
クールビズ(COOL BIZ)の名称は、英語で「涼しい」「格好いい」という意味を持つCOOLと、仕事を意味するBusiness(BIZ)を組み合わせた造語で、2005年4月に環境省が実施した一般公募によって決定されました。
なお、クールビズの取り組みは企業やオフィスに限定されるものではなく、家庭でも同様の取り組みを行うことで、健康維持や光熱費節約などの効果を期待できます。
■2011年からはスーパークールビズも実施
クールビズは2005年よりスタートした取り組みですが、2011年には従来のクールビズよりさらに一歩踏み込んだ軽装を奨励する「スーパークールビズ」が提唱されるようになりました。
その背景にあるのは、同年3月に発生した東日本大震災です。
未曾有の大災害となった東日本大震災では、福島第一原子力発電所が重大な事故を起こし、電力の供給に大きな影響をもたらしました。
当初は計画停電なども実施されましたが、特に電力の消費量が大きくなる夏場を迎えるにあたり、従来のクールビズでは不十分との考えから、よりカジュアルな服装での就業が許容されることになりました。
スーパークールビズもクールビズ同様、取り組みの可否は任意となっており、基準も企業ごとに異なります。
クールビズとスーパークールビズの違いについては、次の項目で詳しく説明します。
■クールビズの服装の可否
環境省ではクールビズとスーパークールビズの服装について、以下のような基準を設けています。[注3]
・クールビズとスーパークールビズ両方とも可
ノーネクタイ、ノージャケット、半袖シャツ、かりゆしシャツ、チノパン
※可だか、徹底されていないものも含む
・スーパークールビズのみ可
ポロシャツ、アロハシャツ、Tシャツ、ジーパン、スニーカー、サンダル
※TPOに応じて節度ある着用に限るものも含む
ランニングシャツやハーフパンツは、クールビズとスーパークールビズ共に原則不可となっています。
スーパークールビズはよりカジュアル志向が強い服装となっているため、業種や職種によっては抵抗が強く、クールビズよりも浸透していないのが実状です。
クールビズの概念や目的に適したアイテムや服装選びのポイントをご紹介します。
■1. 職場の基準に合わせる
前の項目でクールビズ、スーパークールビズの服装の基準をご紹介しましたが、あくまで環境省の基準であり、すべての企業に該当するものではありません。
そもそもクールビズの服装の基準は明確に定められておらず、各企業の判断に委ねられています。
たとえば、環境省のクールビズではポロシャツは原則不可とされていますが、企業によってはポロシャツ着用OKとしているところもあります。
逆に、環境省ではかりゆしシャツはOKという基準ですが、企業ではNGとしているところもあります。
このように、職場によって服装の基準はまちまちですので、会社の就業規則などを確認し、クールビズの基準をあらかじめ確認しておきましょう。
■2. ラフ過ぎる格好や露出の大きい服装は避ける
クールビズは通常の服装よりもカジュアルな服装ですが、だからと言ってラフ過ぎる格好や露出の大きいファッションを取り入れると、ビジネスにふさわしくない服装になってしまいます。
だぼっとしたオーバーサイズのシャツや、背中が大きく開いたトップス、ミニスカートなどの着用は避け、節度あるコーディネートを意識しましょう。
■3. 基本のスタイルはノージャケット、ノーネクタイ
クールビズの基準は企業によって異なりますが、ノージャケット・ノーネクタイが基本スタイルとなります。
クールビズの期間に入ったけれど、何を着ていけばいいかわからないという場合は、まずはノージャケット・ノーネクタイからチャレンジしてみるとよいでしょう。
ただ、いつものタイドアップと同じシャツを着用すると、ただネクタイを外しただけの野暮ったいスタイルに見られてしまうおそれがあります。
ノーネクタイには、襟の先に小さなボタンが付いているボタンダウンシャツや、襟型がほぼ水平に開いているホリゾンタルカラーなどが似合うので、クールビズに備えて2~3枚ほど持っておくと便利です。
■4. 女性は首回りのつまったトップスを選ぶ
女性のクールビズスタイルは、ブラウスやシャツ、カットソーなどが基本となります。
ただ、ノージャケットで首回りが開いたデザインの服装を着た際に、頭を下げたときやかがんだときに胸元が見えてしまうおそれがあります。
ノージャケットスタイルのときは鎖骨が少し見える程度の控え目なデザインを選ぶようにしましょう。
■5. 透けないインナーを着用する
シャツやブラウス一枚で過ごす場合、生地の色や素材によってはインナーが透けて見えることがあります。
特に気温が高い日は汗の影響で生地が透けやすいので、中に着るインナーの色には十分注意しましょう。
具体的には、ベージュやライトパープルなど、肌色に近い色のインナーを選ぶと、アウターに響きにくくなります。
■6. ボトムスはきれいめスタイルを意識する
ボトムスがだぼっとしているとだらしないイメージを与えてしまうので、男性でも女性でもきれいめスタイルを意識するのがポイントです。
男性なら細身のスラックスやチノパン、女性なら膝丈より長いスカートまたはシルエットがきれいなパンツを着用するのがおすすめです。
なお、スカートを履く場合は、たとえクールビズでも必ずストッキングを着用するのがマナーです。
クールビズには特定の実施期間が設けられておらず、地域や気温などに応じて任意に決めることができます。
勤め先の会社がクールビズを導入している場合は、実施期間と服装の基準を確かめた上で、節度ある服装を心がけましょう。
天気予報専門メディア「tenki.jp」では、その日の予想気温などに基づいて最適なコーディネートを提案する「服装指数」を毎日公開しています。
クールビズの服装選びに迷ったときは、ぜひ服装指数を参考にしてください。
[注1]環境省:令和3年度 クールビズについて
[注2]環境省:令和4年度クールビズについて
[注3]環境省:環境省におけるクールビズの服装の可否[pdf]