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夜空に流れるように輝く淡い光の帯、天の川。天文学上では、「銀河系」「天の川銀河」と呼ばれています。この光の帯が多くの星の集まりであることを発見したのは、はじめて望遠鏡で宇宙を観測したガリレオ・ガリレイでした。今から約400年前のことです。
天の川とは、銀河系に属する無数の星々の輝き。銀河系は渦巻き状の構造で、円盤のようなかたちをしています。その大きさは約10万光年、約2000億個もの恒星が含まれるといわれています。地球を含む太陽系の位置は、銀河系の中心から約3万光年も離れた端の方。地球に住む私たちが見ている天の川は、いわば銀河系の断面の姿なのです。
銀河系の中心方向には、より多くの星が密集し、幅も広く見えると予測されます。逆に中心から離れていくと、星の数は少なくなり幅も狭くなるでしょう。夏の夜空を眺めると、南の地平線近くのさそり座といて座の間の天の川は、ひときわ明るく幅も広いことに気付きます。いて座は、ちょうど銀河系の中心方向にあたる星座なのです。
「七夕」とは、旧暦(太陰太陽暦)の7月7日の夜を意味する言葉。旧暦は月の満ち欠けを基準にしており、新月の日が1日でした。7日には、上弦よりもやや細い月齢6の月が南西の空で輝いていました。
半月に近い形から「舟」に見立てられた月は、数日かけて天の川を横切って東に移動します。この様子が、天の川の西岸で輝く織姫星をのせて、彦星の待つ東岸へと川を渡る舟と重なり、七夕伝説につながったといわれています。
国立天文台では、かつての七夕に近い日を「伝統的七夕」としています。旧暦に基づく伝統的七夕は、現在の暦では日付が毎年変わり、2022年は8月4日。21時をまわる頃に、頭の真上近くに織姫星(こと座の1等星ベガ)、左下の南東に彦星(わし座の1等星アルタイル)が輝いています。夜空の暗い場所では、2つの星の間に天の川の姿を見ることができるでしょう。
天の川の明るさが季節によって違うのは、なぜなのでしょうか。天の川を観測しやすいのは、夏から初秋にかけての夜空。地球の北半球(日本)が夏のとき、地球の夜側は銀河系の中心方向を向きます。 そのため、多くの星の集まりを目にすることになり、夏の天の川は明るく見えるのです。 反対に、冬は星が少ない銀河系の外側の方向を見ることになり、見つけるのが難しくなります。
8月初旬、天の川が南の空に輝くのは、日没からしばらく経って空がすっかり暗くなる時間帯。天頂付近では、天の川の西側にベガ、左下の東側にはアルタイルが光っています。ベガとアルタイルにデネブを加えた「夏の大三角」から、いて座とさそり座付近へと空を横切る淡い光の帯。夜空の暗さに眼がなれると、天の川の姿が白く浮かび上がってきます。
今は天の川を観測する絶好のタイミング。ぜひ、空気の澄んだ場所で夜空を見上げてみましょう。
参考サイト
国立天文台「天の川全国調査」
国立天文台「天の川銀河紀行」
アストロアーツ「天文の基礎知識」