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上層雲とは、その名の通り上空の最も高い所(5000m~13000m)に発生する雲をいいます。
上層雲には「巻雲」「巻積雲」「巻層雲」がありますが、とても高い場所に位置しているので、これらの雲から雨や雪が降ってくることはほどんどありません。地上にたどり着くまでに蒸発してしまうからです。また、上層雲は高度が高く低温なので、ほぼすべて氷の粒からできています。
巻雲(けんうん)は、糸のように散らばった白い雲で「すじ雲」とも呼ばれる雲です。はけで掃いたような形が多く、秋から冬によく見られ、数ある雲のうち最も高いところに現れます。巻雲どうしが重なり合ってあばら骨状になると、次第に天候が悪化することが多くなります。
巻積雲(けんせきうん)は、小さな雲のかたまりが、魚のうろこのように規則的に集まっている雲です。「いわし雲」や「うろこ雲」とも呼ばれていますが、よく耳にする「ひつじ雲」とは別物です。
「ひつじ雲」は中層雲である「高積雲」を指すので雲が発生する高度が異なります。巻積雲のほうがより高い場所で発生するので、私たちの目からは小さく見えることになります。判別するのはやや難しいですが、1つ1つの雲が小さいほうが巻積雲(いわし雲・うろこ雲)、大きいほうが高積雲(ひつじ雲)ということになります。
巻積雲が現れ、次第に高積雲へと変化していく場合は、徐々に天候が悪化することが多くなります。
巻層雲(けんそううん)は、薄いベール状で太陽が透けて見える雲です。
この時、太陽の周りにぼんやりと輪っかのようなものが見えることがあります。これを「ハロ(暈)」といいます。
この光の輪は、太陽の光が雲の中に含まれる氷の粒に当たり、屈折することにより発生します。
太陽の近くで起こる現象のため、観察するときにはサングラスをかけるようにしましょう。
ハロ(暈)が起きる時、すなわち巻層雲が現れている時は、すぐに天気が悪くなるということはありませんが、徐々に天候が悪化することが多くなります。
ここまでで説明した3つの上層雲は、暖かい地域ほど高い場所に発生します。日本付近では高くても13000mくらいが限界ですが、熱帯地方では15000m以上の高さになることもあります。上層雲は太陽光をあまり遮らないので、太陽の近くを観察するときは注意しながら行いましょう。