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まず意識してもらいたいのが、登山というのは基本的にグループで行うアクティビティだということです。単独で山に登る人もいますが、それはイレギュラー。なぜグループで行うのかというと、山で何かあったときに単独だと何もできなくて詰んでしまう可能性が高いためです。
例えば足を滑らせて滑落し、気を失ったとしましょう。それが単独行だった場合には意識が戻るまで何もできませんし、ケガをしていた場合には処置が遅れます。グループならすぐに山岳救助隊に連絡でき、迅速な対応をしてもらえます。
警察庁から発表された「令和2年における山岳遭難の概況」によると、単独登山遭難者の死者・行方不明者の割合が15.8%で、複数登山での死者・行方不明者の割合6.6%と比べると、9.2%も高くなっています。また、全遭難者に占める単独登山者の割合は40.3%にもなります。安全に登山を楽しみたいのであれば、できるだけ誰かと一緒に登りましょう。
このとき一緒に登るのは経験者であることが理想です。不慣れな人だけで登るのは、それだけ不安要素が増えてしまうだけです。経験豊富な人が1人いるだけで、いざというときの対応がスムーズになりますし、わからないことのアドバイスもしてもらえます。
まずは周りに登山経験者がいるかどうか探してみて、登山に詳しい人がいたら一緒に登ってもらえるようにお願いしてみましょう。どうしても見つからない場合には、トレッキングツアーを探して参加しましょう。
【参考】
令和2年における山岳遭難の概況
警察庁
初心者は登りたい山ではなく、自分のスキルで登れる山を選びましょう。登りやすい山の明確な基準はありませんが、下記を満たす山であれば初心者でも安心して登山できます。
・アクセスしやすい
・日帰りで行ける
・標高差が低い
・コースタイムが短い
・登山者が多い
まずは登山やトレッキングなどのガイドブックを購入しましょう。インターネット上の情報には不正確なものもあり、後から見返そうと思ってもURLがわからなくて、チェックしたサイトにたどり着けないこともあります。ガイドブックは情報が正確で使い勝手もよいので1冊用意しておくとよいでしょう。
ガイドブックを参考に日帰り登山が可能で、公共の交通機関でアクセスできる山を3山くらいに絞って、あとは一緒に行くメンバーと相談して決めるのがおすすめです。
ポイントは「難しいかな」と思ったらもう少し登りやすい山に変更することです。登山に関しては何を判断するにしても安全性を重視するのが基本です。リスクは可能な限り排除しておく必要があるので、不安要素が少しでもあるなら、その山を登るのはやめておきましょう。
安全を重視するというのは荷物や装備も同じです。例えば天気予報が晴れでも、絶対に雨具を持っていく必要があります。食べ物や水も下山したときに余っているくらいがちょうどで、食べ切ったり飲み切ったりしていたのではちょっとしたトラブルがあったら不足していたことを意味します。
どんな山でも遭難リスクがあるので、常に遭難することを想定して装備と荷物を揃えてください。
・登山靴
・ザック(リュック)&ザックカバー
・雨具(レインウェア)
・ヘッドライト
・地図&コンパス
・モバイルバッテリー
・スマートフォン
・水
・行動食と非常食
・ゴミ袋
・タオルもしくは手拭い
・ティッシュ
・健康保険証
これらはどんな山を登るときにも必要です。
ここで重要なのは荷物を重くしすぎないということです。かといって必要以上に軽量化するのは危険です。遭難して山で一晩過ごすくらいのつもりで装備と荷物をリストアップし、そこから無理なく歩けるくらいの荷物に絞って持っていきましょう。どうしても絞れないなら、軽量なアイテムを買い揃えるのもおすすめです。
ちなみに日帰りならザックは20~30Lが基本です。これに入る範囲内で優先順位の高いものから持っていくようにすれば、荷物が重くなりすぎて歩行に支障をきたすといったことも回避できます。
最後に絶対に忘れないでもらいたいのが、登山をする前にかならず登山計画書を作成し提出するということです。
登山計画書は自分がどのようなルートを使い、どのようなスケジュール、メンバーで登山するかをまとめた計画書で、これを登山前に山域を管轄する警察に提出することで、遭難などがあったときに迅速に対応してもらえます。
すべての山で提出が義務付けられているわけではありませんが、山でのトラブルはどの山でも起こることですので、安全に登山を楽しみたいのであれば、提出が義務付けられていない山に登るときでも必ず提出しましょう。
登山計画書には決められたフォーマットはありませんが、インターネット上にテンプレートがいくつも用意されていますので、それらを利用しましょう。提出は登山口のポストでもいいのですが、スムーズな救助活動につなげるために、下記サイトを使ってのWEB申請がおすすめです。
●山域を管轄する警察のオンライン登山計画書届出フォーム
●コンパス
●ヤマップ
※ヤマップは長野での登山にのみ対応しています。
登山計画書を提出するだけでは、遭難したときなどに警察は動いてくれません。なぜなら警察は登山計画書のすべてに目を通しているわけではなく、捜索依頼などがあって初めて登山計画書をチェックし、それに従って捜索を行います。
このため登山計画書を作ったら、提出するだけでなく家族や友人にも渡しておきましょう。そして予定通りの下山連絡がなかったときに、警察に連絡してもらいます。こうすることで、圏外での遭難でも迅速に対応してもらえます。
面倒だと思うかもしれませんが、登山計画書を出さずに山に入るのはNGです。それほど標高が高くなく、登山客の多い高尾山でも毎年遭難者が出ています。自分だけは大丈夫だと思わずに、どんな山でも登山道に入るときには、必ず登山計画書を提出してください。
【参考】
登山計画書を届出しましょう
高尾山岳救助隊
tenki.jp 登山天気アプリ