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ひと口にアイスと言っても、実は厚生労働省の基準によって、4つに分類されているって、ご存知ですか?
アイスを買うときに、成分の表示を見ると、どの分類に当たるのか書いてあります。
読者の皆さまに、わざわざ成分表を確認していただくのもご面倒かと思いますので、こちらにまとめてみました。
これによると、いわゆる「アイス」はざっくり乳固形分が3.0%以上あるもの
「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」の3つ(ここでは愛を込めてアイス三兄弟と呼ばせていただきます)と、
3.0%より少ないものか、入っていないもの「氷菓」にわかれます。(三兄弟に対抗して、氷菓ちゃんと呼ばせていただきます)
三兄弟なので、一郎・二郎・三郎みたいな感じですね。
さまざまな味がありますが、三兄弟の成分については、バニラ味を調査しました。日本アイスクリーム協会の調査によると、季節を問わず、バニラが好きという人が3割以上を占めているそうです。アイスの中でも特にバニラを愛す人が多いということで、バニラにしたというわけです。
では、調査スタート!
小売店で手に入る「アイスクリーム」を調べてみたところ、某有名高級アイスクリームの乳脂肪分15%がダントツでトップでした。そのほか、小売店で100円前後で売られている商品は乳脂肪分8%が主流のようです。どれも濃厚なお味です。
二郎こと「アイスミルク」は一郎のスピリットを引き継ぎ、乳固形分10%以上・乳脂肪分3.0%以上で、アイスクリームより、ややあっさりした味わいです。雪景色を連想させる和風のあの商品も「アイスミルク」です。
三兄弟の末っ子、三郎は「ラクトアイス」です。乳固形分3.0%以上という決まりはありますが、乳脂肪分の決まりはありません。食べた感じは、兄貴たちに比べるとさっぱりしたミルク感で、シャリシャリしたものもあり、自由な感じの印象です。乳脂肪分は控えめですが、植物性脂肪分が入っている場合が多いのも特徴です。さっぱりしているのに、カロリーは高めというのも、ちゃっかりしていて末っ子らしいですね。
アイス三兄弟と、氷菓ちゃんの違いは、簡単にいうと「濃厚か、さっぱりしているか」です。
「氷菓」は、乳固形分が少ないので残念なイメージがしてしまうかもしれません。ですが、氷菓ちゃんは、もっと評価されるべき!(氷菓だけに)なぜなら、アイス三兄弟に比べてカロリーが控えめなことが多く、さらに、毎年様々なフレーバーで楽しませてくれるあの人気商品も「氷菓」に分類されているからです。
日本気象協会では、天気と商品の売り上げの関係を研究しています。そのデータをもとにアイス三兄弟と氷菓ちゃんを勝手に戦わせてみました。(ホントはみんな仲良しです…多分)
氷菓ちゃん(1人?)に対してアイス三兄弟は、いささか卑怯な気もしますが、成分の違いということでご理解ください。また、データに関して、気温以外にも湿度や晴れか雨かといった天気、お店での特売セールなども影響しますが、今回は昔から言われている「気温」と「売り上げ」に絞って調べてみることにしました。
まず、アイス三兄弟の中でも似たような特徴がある一郎「アイスクリーム」と二郎「アイスミルク」と、氷菓ちゃんを比べてみましょう。一郎と二郎は、どちらも売り上げのグラフが緩やかなのに対し、氷菓ちゃんは、夏にギュンと上がり、冬はガタ落ちしてしまいます。シャリシャリした食感の氷菓は、夏は強いけど冬は極端に弱いようです。
さて、一郎・二郎はどうでしょうか。特に一郎(アイスクリーム)を詳しくみてみると…。
なんだか売り上げのピークが、年末年始や5月の大型連休のころにもあるようです。
年末年始にピークがあることについて、日本アイスクリーム協会によると、6~7年くらい前に業界で「冬アイス」を広めよう!という動きがスタートし、手の込んだ付加価値のある商品の開発が進んだことや、年末年始は買いだめをする人が多いことが原因ではないか?と推測しているそうです。
また、5月の大型連休のころは、気温と湿度のバランスがアイスクリームを食べるのに適している時期です。また、5月9日の「アイスクリームの日」を前に、さまざまなイベントがあることも大型連休の売り上げに貢献していそうですね。5月の最高気温は25℃くらいなので、昔から言われている最高気温が「25℃以上でアイスクリームが売れる」というのは、いまでもだいたい合っているようです。
一郎こと「アイスクリーム」はしぶといので、大型連休が終わって6月後半まで粘ります。そして、7月に入ると、氷菓ちゃんに抜かれます。よく言われている「30℃で氷菓がアイスより売れる」というのは、ここから来ているのでしょうか。
それにしても、氷菓ちゃんは夏にパッと現れて、涼しくなったら消えてしまうので儚いイメージがしますね。
一郎・二郎VS氷菓ちゃんは、季節による違いがハッキリしました。
一郎は、年中安定して売れています。さすが長男!
ここで忘れてはならないのが、アイス三兄弟の末っ子・三郎こと「ラクトアイス」。
売り上げのグラフを見ると三郎は、兄2人とは全く別の動きをします。
実は、氷菓ちゃん同様、気温が上がるとともに、売り上げが伸びていく傾向があるのです。
そして、三郎は逆転されることなく、最高気温が30℃を超えても氷菓ちゃんよりも売れています。
え?じゃあ、アイス売り上げバトルは、ちょっと異色の三郎の優勝?
暑い中で売れるアイスナンバー1は氷菓ではなく、ラクトアイスなのでしょうか?
ここで注意したいのは、これは「売り上げ金額」だということ。特売で安くなっている時に、たくさん買った場合は、実際には売れていても売り上げのデータには反映されにくいのです。
氷菓は比較的安価な商品が多いため、販売個数で勝負したら違う結果になるかもしれません。
近年は、35℃以上の猛暑日の日数も増えています。
30℃以上の真夏日ではなく、35℃以上の猛暑日が続いた場合はどうなるのでしょうか。
社内のとある部署に聞いてみると…。
「しゃーない…(社内だけに)」と教えてくれました。
どうやら、三郎ことラクトアイスや氷菓が最も売れるのは、梅雨明け後に最初に猛暑日を記録した週だそうです。ところが、その後、猛暑日が連続すると売上は減っていくということが分かりました。
これは、涼しい時期から急に気温が上昇したときの方が、人々は暑いと感じることや、猛暑日が続くと外出する人が減ることなどが考えられます。
もともと夏は、昼間よりも朝夕の方がお客さんが増える傾向があります。お客さんは、最高気温が25℃を超えると朝夕に分散しはじめ、最高気温が30℃を超えると夜の方が増えるそうです。極端に暑い日の昼間に外出するのは、危険ですからね。
ところで、日本一アイスを愛す市民は、どこの人たちかご存知ですか?
那覇?宮崎???なんとなく暖かい所を想像しがちですが、残念ながら違います!
総務省の家計調査によると、アイスクリーム・シャーベットの支出が最も多いのは、なんと日本海側の石川県金沢市!
沖縄や九州ではなく、物価が高そうなイメージの東京でもなく、金沢なんです!しかも2011~2020年の10年間データをさかのぼると、金沢は7回も日本一になっているんです!!!
加賀百万石というくらいですからね…お金持ちなのでしょうか?(お金はおっかねー)
冬は曇りや雨・雪の日が多い金沢が1位なのは、なぜでしょうか。
日本アイスクリーム協会の調べでは、加賀百万石の歴史や文化の影響で甘いものが好きな人が多いということや、金沢は小売店が多く、お客さん獲得のため特売でアイスが半額から4割引で販売されていること、冷蔵庫が2台ある家庭が多く、マルチパックのアイスを買いだめしておいて、好きなタイミングで食べる…などなど、さまざまな理由がありました。
社内にいる金沢出身の人に聞いてみたところ…。
「子どものころには、家庭用の冷蔵庫のほかに、もう1台小さな冷蔵庫もあったような…」とのことでした。そして、今でも実家に帰ると、必ず某高級メーカーのアイスが完備されているそうです。さすが日本一!!!
これまでの結果をまとめると・・・。
「アイスクリームとアイスミルクは年中売れていて、氷菓・ラクトアイスは夏に急激に売れる!!!」
ということがわかりました。
また、どんな時に売り上げが伸びるのかというと、気温〇℃以上というような明確な境目はなく、梅雨明けしてから最初の猛暑日の辺りで爆発的に売れるようです。
一郎二郎三郎、氷菓ちゃん…みんな違ってみんないい。
どれも愛すべきアイスです!!!
[参考]
・日本アイスクリーム協会