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金星は太陽系の惑星のなかで、地球よりも内側を公転する内惑星。夜空を眺めるときは太陽と反対側の宇宙を見ることになるため、夜中に見ることができる惑星は地球より外側にある外惑星になります。そのため、内惑星である金星を目にできるのは、昼と夜の間にあたる日の出前と日没後の限られた時間になるのです。
夕方から宵にかけて輝く金星は「宵の明星」と呼ばれます。7月に入ってマイナス3.9等と明るくなり、西の空で存在感を増しています。日の入り45分後の高度は10~15度程と低空のため、見晴らしの良い場所から観察してみましょう。
宵の明星として見られるのは12月頃まで。2022年1月上旬には、太陽と同じ方向に位置する「内合」となり、目にすることができなくなります。地球から見て、惑星と太陽が同じ方向に位置することを「合」といいます。「内合」とは内惑星が地球と太陽の間で合となることを意味し、太陽を挟んで地球の反対側での合は「外合」といいます。内合を経た金星は、1月下旬頃、夜明けの東空に「明けの明星」として再び姿を現します。
宵の西の空に金星が輝き、近くには火星も見ることができます。金星と火星が最も接近するのは7月13日で、月の見かけの直径距離に2つの惑星が収まるほど。金星はマイナス3.9等の明るさですが、そのすぐ左側に並ぶ火星は1.8等とやや暗め。明るさの差はおよそ200倍にもなります。まだ空が明るいこともあり、火星は肉眼では見えづらいかもしれません。双眼鏡があれば、ぜひ使いたいですね。
7月12日には月齢2.4の細い月が金星と火星に接近し、美しい光景を目にすることができます。日没後、30分から1時間ほどのひと時、3天体の共演を楽しみましょう。
7月下旬になると、真夜中過ぎの南の空では輝きを増した土星と、その左側に明るく光る木星の姿があります。24日から27日にかけては、月が土星と木星に相次いで近付く様子が観測できます。
月が土星に最も近付いて見えるのは、24日の宵から25日未明にかけて。日没後1時間ほどすると、月と土星が地平線から昇ってきます。24日の月は満月。真夜中の南の空で、強い光を放つ月とその左上に0.2等の土星が並んで輝く姿を目にすることができます。その後、月と土星は徐々に距離を縮めながら西の空に降りていきます。
25日夜から26日未明と26日夜から27日未明の2夜で、今度は月と木星が接近します。月は満月を過ぎたばかりで大きく明るく見え、木星もマイナス2.8等の明るさ。この2天体の接近は、ダイナミックな光景となるでしょう。
満月前後の丸い月と明るく輝く2つの惑星の運行に、ぜひ注目してみてくださいね。
参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2021』 アストロアーツ
参考サイト
国立天文台
アストロアーツ