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富士山と言えば、日本一の高さを誇る山として良く知られていますよね。そんな富士山の天気は、私達が住む所とは大きく違います。
例えば、気象庁では、富士山など、色々な山の初冠雪を観測しています。雪やあられなどが山頂付近に積もって、白く見えることを「冠雪」といい、寒候年(前年8月から当年7月まで)に、付近の気象台から初めて見えたときを、その山の「初冠雪」といいます。
富士山の初冠雪は、現在は、甲府地方気象台から観測していて、1894年の統計開始以来、最も遅かった記録は、2016年10月26日。一方、最も早かった記録は2008年8月9日、なんと、真夏に初冠雪を観測したのです。
2008年8月9日を振り返りますと、その日は、甲府市では最高気温が35.9℃と、猛暑日になりました。しかし、上空には、この時期にしては強い寒気が流れ込んだため、午後は大気の状態が不安定になったのです。そのため、甲府市では、雷が鳴って、雹(ひょう)が観測されました。また、甲府地方気象台からは、富士山の山頂付近が白くなったことが確認され、初冠雪となりました。
ちなみに、平年の値で比べますと、富士山登山のベストシーズンである7月下旬~8月中旬の平均気温は6.3度~6.7度で、最高気温は10度に届きません。これは、真冬の東京都心と同じくらいです。真夏の富士山に登るときでも、長そでや長ズボンなど、暖かい服装をご用意ください。
富士山頂は、周囲にさえぎるものがないため、強い風が吹くというのはイメージできると思いますが、風の強さのレベルが違います。
歴代全国ランキングで、最大瞬間風速1位は、1966年9月25日に富士山頂で観測された91.0メートルです。この9月25日には、同じ日に2つの台風が西日本と東日本に上陸したことため、記録的な暴風となりました。
ちなみに、最大瞬間風速91.0メートルは秒速ですので、時速に直すと327.6キロ。ちょうど新幹線と同じくらいの速さの風が吹いたということになります。
日本一の高さの富士山は、風の強さも日本一とあって、登山の際は、帽子などを飛ばされないよう、注意が必要です。
富士山の周辺には、山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖という5つの湖があり、「富士五湖」と呼ばれています。これらの湖、実は、雨量によって、水位が下降したり、上昇したりするのです。
中でも、河口湖には、普段は船でしか近寄れない「六角堂」という建物があります。実は、雨量が少ないと、河口湖の水位が下降して浮島と地続きになり、歩いて「六角堂」まで行けることがあるのです。2013年に地続きになった時、私も実際に歩いてみましたが、いつもは湖であるはずの所を歩いて行けるのは、とても不思議な気分でした。
一方、雨が多いと、「赤池」と呼ばれる「幻の池」が出現します。赤池は、精進湖の水位が上昇すると、近くに現れる池で、最近ですと2020年に見られました。
このように、富士山や富士五湖は、自然の美しさを感じさせてくれるだけでなく、雪や雨、風など、天気によって、姿を大きく変えます。お出かけの際は、ぜひ、天気の移り変わりとともに、日本一の山を楽しんでください。