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ナナカマドというと、秋に真っ赤に染まる葉や実を思い浮かべがちで、どんな花が咲くかはあまり気にしたことがない人も多いのではないでしょうか。全国の山に自生するバラ科の落葉樹で、秋になると真っ赤に染まって見事な紅葉をつくり出してくれるナナカマド。北海道では公園に植えられていたり街路樹として利用されるなど、とても身近でよく目にしますが、花が咲いている印象は薄いかもしれません。
今ごろの北海道で街路樹を見上げたときに、白い花を咲かせている木はありませんか。「この街路樹は確か秋になると真っ赤になっていたような…」と思い当たったら、それはナナカマドです。
春から初夏にかけてナナカマドは、5mmほどの白い小さな花を咲かせます。花びらは5枚。ふんわりと綿のような白い花は無数に集まって、こんもりとした房のようになります。青い空をバックに、綿毛のような白い花の房が新緑の枝のここそこに咲き誇るようすは、北海道の清々しい春の1ページといえるでしょう。
ナナカマドは漢字で書くと「七竈」。名前の由来は、竈(かまど)に7回入れて焼いても燃え尽きることがないほど、丈夫で硬い木である、ということからきているようです。このように、丈夫であることが由来となっているからなのでしょうか、花言葉は「安全」「慎重」「用心」「私はあなたを見守る」などです。
春に白くて可憐な小花をつけるナナカマドですが、丈夫で燃えにくいこと、そして、花言葉が安全・慎重など交通安全の願いと結びつくようなイメージであることが理由からなのか、北海道や東北では街路樹によく利用されています。
街路樹は、運転する側から見て走行路線がわかりやすいこと、車道と歩道を分けること、防風や防雪になることなど、重要な役割を担っていますが、ナナカマドはそれ以上に、白い花や紅葉で私たちの目を楽しませてくれるという“役割”も担っているといえるかもしれませんね。
高い山々の紅葉で、燃えるような赤い色を担うのがナナカマドです。まさに紅葉の主役級。この、息をのむような美しい赤を、北海道や東北ではぜいたくなことに、街路樹や公園で身近に見ることができます。
ナナカマドは白い花が散ると、やがて7月には緑色の実を結びます。そしてその実は8月には黄色くなり、9月になると赤く色づきます。10月になると今度は葉のほうが赤くなり、11月になると赤い葉は落ちて、冬の間は赤い実だけが残ります。雪が解けて桜が咲くころに緑の葉がつきはじめ、5月の下旬にはまた白い花が咲きます。このように、1年を通してナナカマドは私たちの目を楽しませてくれます。
参考
北海道 花めぐり・庭めぐり:ナナカマド
北海道森林管理局:ナナカマド
今ごろの季節に、自分の住む地域の街路樹にどのような花が咲いているかに気をつけて歩いてみるのも、楽しいかもしれませんね。