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そこで、少しでも多くの人に日本と台湾の関係について知ってもらうために、10月25日の台湾光復節に合わせて、両国の歴史や関係について詳しくご紹介します。
日清戦争に勝利した日本は、1895年の下関条約により清国から台湾を割譲され、ここから台湾における日本統治時代が始まります。この統治は第二次世界大戦の終了まで続き、歴史的には1945年10月25日の降伏式典によって日本統治時代が幕を閉じました。
この日本統治時代の終わりを記念する日が「台湾光復節」です。
約50年間も台湾が日本だった時代があり、そのことが現在の日本と台湾の関係に大きく影響しています。台湾は日本の植民地という状態にありましたが、搾取されるだけではなく、日本の税金を使って次のようなインフラ整備などが行われ、台湾は一気に近代化しました。
・鉄道などの交通網の整備
・近代的な上下水道の導入
・水力発電所の整備
・農業技術の発展
・義務教育の実施
統治当初は武力による抗日運動も行われていましたが、次第に日本による統治を受け入れる人が増えていき、抗日運動は非武装化していきました。すべての人が日本を受け入れていたわけではありませんが、台湾の子どもと日本の子どもが同じ教室で机を並べて学び、そこにはもうひとつの日本がありました。
このため、今でも台湾の高齢者の中には「私は日本人」として、それを誇りに生きている人たちもいます。
日本と台湾の関係を語るうえで、避けては通れないのが「台湾の立ち位置」です。台湾は国なのか、それとも中国の地域のひとつなのか。これはとてもセンシティブな問題で、台湾国内においても考え方が分かれています。
日本の統治が終わったとき、台湾は中華民国の地域として復帰します。ところが中国国内では中華民国の国民党(南京国民政府)と中国共産党の内戦が勃発します。この内戦により、国民党を率いる蔣介石が中国大陸から台湾に撤退したことで、台湾の複雑な歴史が始まります。
この時点で中国は、中国大陸の中華人民共和国と台湾の中華民国に分かれてしまい、どちらも「自分たちこそ中国」を主張します。当初は世界的にも台湾の中華民国が中国でしたが、奇しくも1971年10月25日、台湾光復節の日に国連における中国の代表権が中華人民共和国に移り、中華民国は国連を脱退します。
形としては中国において国民党と共産党が長らく内戦状態にあるということで、台湾と国交のある国はわずかしかありません。ところが、「台湾は独立した国家である」と主張する人たちもいます。
これは日本が台湾を放棄したときに、中華民国への復帰が暫定的なものなのか永続的なものなのか定められていなかったことに原因があります。中華民国も中華人民共和国も永続という考え方をベースに持っていますが、台湾が中国に復帰したのは一時的な措置だと考える人が台湾にいます。
それは日本統治時代から台湾で暮らしていた人たちで、独立派として民進党を結成します。「台湾は中国であり、中国とは中華民国のこと」と主張するのが統一派の国民党で、この2つの政党が台湾内では二大政党としてぶつかり合っています。
このように台湾内でも考え方が違う人たちがいるため、現在のような複雑な状態が続いているというわけです。ちなみに、これに対して、日本政府は「台湾の帰属について何ら物を申すべき立場にない」という立場を維持し続けています。
台湾における「統一」・「独立」論争の起源と展開
日本と台湾が歴史的にもいかに深い関係にあるか、理解してもらえたかと思います。ただ、実際にはもっと多くの出来事があり、私たちが学んでこなかった歴史があります。それらを学んでから台湾に行くと、旅がもっと充実したものになります。
新型コロナウイルスの影響で、しばらくは台湾に行けそうにありませんが、いずれ以前のように気軽に出かけられるようになる日に備えて、日本と台湾の関係について学んでおきましょう。日本統治時代について書かれた書籍が発売されていますので、秋の夜長のお供に気になる1冊を手にしてみましょう。
本を読むのが苦手という人におすすめなのが、映画「KANO 1931 海の向こうの甲子園」です。台湾の高校野球チームが戦前の甲子園で活躍する物語で、当時の日本と台湾の関係や、台湾の人たちが抱く日本統治時代が描かれています。
「KANO 1931 海の向こうの甲子園」は動画配信サービスのU-NEXTやAmazonプライム・ビデオなどでも配信されています。他にも日本統治時代やその後の歴史を舞台にした台湾映画がいくつもありますので、台湾が好きだという人はぜひチェックしてみてください。
もちろん純粋に台湾を楽しむだけでもいいのですが、歴史的背景を知ることで視野が広がり、見える景色が変わってきます。小籠包やタピオカミルクティだけではない、自分だけの台湾の魅力を手にするためにも、台湾光復節を、日本と台湾の歴史を学ぶ1日にしてみてはいかがでしょう。