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7月17日は「理学療法の日」。今回は、医療のひとつとして重視され、生活の質(QOL)の向上も担う「理学療法」ついてご紹介します。
1965年に理学療法士について定めた法律「理学療法士及び作業療法士法」が公布され、翌年、第1回理学療法士国家試験が実施されました。この時に誕生した110名の理学療法士によって、1966年7月17日に日本理学療法士協会が結成されます。「理学療法の日」は、この日にちなんで制定されました。
理学療法(PT、physical therapy)とは、身体の機能回復や維持を目的とする療法のひとつ。「理学療法士及び作業療法士法」では、「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
法律にあるように失われた身体機能を回復することに加えて、現在は今ある身体機能や健康を維持・増進し、けがや病気を予防することも重視されています。回復・改善と維持・予防。両方の側面が理学療法に期待される大きな目的となっているのです。日本での本格的な理学療法の歴史がはじまって50年あまり。リハビリテーションという言葉も定着し、その需要は年々高まりをみせています。
理学療法の歴史は古代ギリシアに起源があるともいわれています。「理学」とは、電気療法、マッサージ、温熱などの物理的手段のことで、古代ギリシア時代に行われていた太陽や水、熱の力を使った物理療法が理学療法(リハビリテーション)の起源にあたると考えられています。
現在のようなリハビリテーションが行われるようになったのは近代になってからで、第一次世界大戦時にアメリカで発展しました。日本での理学療法の本格的な歴史は、厚生労働省(当時は厚生省)により発行された「厚生白書」で、医学的リハビリテーションが医療の重要部門として初めて言及された1960年頃からになります。その後、法律の制定、国家試験の実施を経て、日本中に普及していくこととなるのです。
運動機能の回復に加えて、日常生活動作(ADL、activities of daily living)の改善、最終的には生活の質(QOL、quality of life)の向上を目的とした現在の理学療法。病気、けが、高齢、障害など、何らかの原因で日常生活に困難をきたす可能性は誰にでもありえます。生活に関わる動作をひとの手を借りず自分で行いたいと思うことは自然なこと。日常生活動作を改善することは、QOL向上に大きく関わっているのです。
日本理学療法士協会のキャッチコピーは、「笑顔をあきらめない。」
当事者と家族がその人らしい生活を送ること、自分らしく暮らしたいというひとりひとりの思いを支えることを大切にしているのですね。
理学療法の目的は、病気やけがの回復を促すことのほか、自立支援、生活支援、健康増進、介護予防など多岐に渡ります。人生100年時代といわれる今、理学療法は私たちの生活に欠かせないものといえるのではないでしょうか。
参考サイト
公益社団法人 日本理学療法士協会
リカガクラボ