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調理の際、切れ味の落ちた包丁にストレスを感じることはありませんか?トマトが潰れてしまう、ネギなどの食材がきちんと切れずに繋がっていた、などは包丁の切れ味が落ちているサインです。
「スパッと切れる」切れ味の鋭い包丁は、調理中に力むことなく食材をカットでき、怪我もしにくいもの。さらには、食材の細胞を潰さずに繊維が切れるため、食材自体の水分や旨みを逃さず調理することができます。また、繊維を潰さないことにより、玉ねぎのみじん切りで涙が出にくくなったり、お肉やお魚の食感も良くなります。
味覚センサーを使用した調査では、切れ味の落ちた包丁で切ったピーマンは苦みや酸味が強くなるという結果が出ているそうです。食材本来の味を引き出せれば、苦手な食べ物の特有の味が変化するかもしれませんね。よく切れる包丁を使うと、切る幅や形、大きさなども調整しやすく、切った後の形もきれいです。味だけではなく見栄えも良くなりますよ。
包丁を家庭で研ぐためには研ぎ器が必要です。種類がいくつかありますので、ご自身にあったものを準備しましょう。
☆角砥石
粒度(りゅうど)によって、荒砥・中砥・仕上げ砥の3種類があり、刃こぼれした場合は荒砥から、順に研いでいきます。家庭でお手入れする場合は、中砥で研ぐのが簡単です。
上手に研げれば切れ味も刃持ちも良いですが、研ぎ手の力量によって仕上がりに差が出ることがあります。また使ううちに砥石が凹むので平らに保つメンテナンスを要します。
☆簡易砥石
切れ味が落ちてきた時に使用します。砥石を交差させたV字型の溝に刃を差し込んで、手前に引くことで刃先を再生させる方法です。とても簡単で便利ですが、切れ味はあまり持続しません。
☆電動砥石
簡易砥石が電動になったもので、使い手を選ばず早く簡単に刃付けができます。
☆研ぎ棒
棒形の簡易研ぎ器です。表面にダイヤモンド加工やセラミック加工が施されています。刃と研ぎ棒の角度が一定になるように刃先全体を滑らせて研ぎます。ハサミや鎌などの刃物にも使用できます。
今回は、ステンレスの三徳包丁を中砥石で研ぐ方法をご紹介します。
1. 人造砥石であれば10〜20分ほど、水を張った桶などにつけておきます。天然砥石の場合は水を吸収しないため、つけておく必要はありません。※持っている砥石の説明書に従ってください。
2. 平らな場所に濡らした布を敷いて、その上にたっぷりと濡らした砥石を置きます。砥石に対して刃の角度を変えずに研ぐことが大切なので、砥石の高さはおへそくらいが望ましいです。
3. 包丁のハンドルは、利き手で握ります。『峰』と呼ばれる、包丁の背中に人差し指が沿うように、『あご』と呼ばれる、ハンドルから近い刃先の下角部分を親指で押さえるように持つのがおすすめです。
4. 包丁は砥石に対して45度の角度で、『峰』の部分を4、5mm(およそ小指1本分くらい)持ち上げた状態にします。この角度を維持しながら研ぐことを意識しましょう。利き手でない方の人差し指と、中指を研いでいく部分に軽く当てて研いでいきます。力加減を変えずに研ぐときれいに刃が付きますので、力を入れずに、腕の重さで研ぐようなイメージで行ってください。
5. 刃先からあごまでを4か所くらいに分けて、順に研いでいきます。砥石の縦の長さをいっぱいに使うと効率がよいです。研いでいくうちに黒い水になりますが、これは削り落とした包丁と砥石が削れたものです。滑らかに研ぐ助けになりますので、流したりせずにそのまま研ぎ続けて問題ありません。
6. ある程度研いでいくと、刃に手で触るとわかる程度の引っ掛かりができます。これが『カエリ』と呼ばれる上手く研げたサインです。刃先からあごまで全体に『カエリ』が出るまで研ぎましょう。
7. 包丁の裏側も同じように研いでいきますが、表より軽く研いでしまってOKです。
8. 表裏を研ぐことができたら『カエリ』を取り去ります。砥石に付属されている木片があれば、刃を当てて軽く引きます。ない場合は新聞紙を平らなところに広げて、両面それぞれを軽くこすり当てましょう。試し切りをして抵抗感なく、スムーズに切れれば終了です。包丁を水洗いして、しっかり水気を拭き取って保管しましょう。砥石のお手入れもお忘れなく。
参考
貝印株式会社
FOODIE