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「ヒートショック」とは、暖かい部屋から寒い部屋への移動など、温度の急な変化が体に与えるショックをいいます。ヒートショックは急激な温度差にさらされることで起こりますが、温度差をなくす対策としては寒い場所を作らないことが大切です。今回は、「家の中の寒い場所はどのような所か」「寒い部屋を少しでも暖かく保つコツ」について焦点をあてて、ヒートショック対策について考えてみましょう。
WHO(世界保健機関)では、健康を守るための安全でバランスのとれた室内温度として、冬の住宅内の室温を最低でも18度にすることを推奨しています(*1)。18度以下の室温に長時間さらされると、血圧の上昇など体へ様々な影響を及ぼし、健康被害につながるといわれています。冬の低温が体に与えるダメージは大きく、日本でも学校の教室での室温について基準が改正されました。
上記の画像は、日本の住宅の居間と脱衣所の平均室温を表したもの(*2)です。これを見ると、暖房が効いて暖かいと感じられる居間の平均室温が18度未満の住宅は約60%と半数を超えていることが分かります。脱衣所にいたっては約90%です。
「暖房」とは、部屋または住宅内の空間全体を暖めることです。欧米の多くの国では、セントラルヒーティングなどで家全体を暖める考え方が主流です。一方、日本では、昔から囲炉裏やこたつで暖をとる「採暖」という考え方があります。「採暖」では、体を部分的に温めることはできますが、部屋を出ると、温まった体と廊下の寒さとの温度差でブルっと身震いすることになります。
ヒートショックから身を守るには、部屋と部屋の温度差を小さくする「温度のバリアフリー化」を図ることが大切です。そのためには、「採暖」ではなく、家の中の空間全体を暖めるという考え方が必要となります。部屋全体を暖めるには、窓に断熱シートを貼って冷気を遮断する、エアコンを使用している場合は扇風機などで空気を循環させるなど、手軽にできる方法がいくつかあります。特に、家の中で寒いと感じられる脱衣所は、入浴前に電気ストーブなどで暖めておくと安心ですね。
ヒートショック対策として、家の中のどの場所もできれば18度以上を目安にし、寒い場所を作らないようにしましょう。普段あまり行くことのない実家や親戚の家に行く、または普段なかなか話すことができない親や親戚と話す機会があれば、暖かい部屋で過ごせているかどうか、室温を確認してみてください。
日本気象協会では、ヒートショックの知識や対策をより多くの人に知って行動に移してもらうため、ヒートショックの啓発プロジェクト「STOP!ヒートショック」をサポートしています。また、日本気象協会は東京ガスと共同開発した「ヒートショック予報」について、tenki.jpでも提供していますので、ぜひご活用ください。
◎出典元
(*1)WHO "WHO Housing and health guidelines"(2018)
(*2)一般社団法人日本サステナブル建築協会 スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 第3回中間成果報告会(2019/2/1)