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暑い夏が過ぎるのを待ち、秋に最大限の力を発揮しようとするのが競馬の競走馬です。やはり馬も暑さは苦手ですから、夏の間、強い馬は休養に入ります。その間、「G1」と呼ばれるもっともグレードが高いレースは開催されません。そのため、秋は競馬ファンにとって待ちに待った季節ともいえるわけです。そんな“秋競馬”の魅力とは?
競馬はよくわからない人にとっては、全国の競馬場でいろいろなレースをやっているけど何が違うの?と思われることでしょう。
陸上競技の「100m走」のようにわかりやすければよいのですが、競馬の場合は各レースに賞の名前がつきますし、そのレース名を一見しただけでは、どんなレースかよくわかりません。
そこで、まず基本的なこととして、「秋のG1」の「G1」は、「グレードワン(Grade1)」の略であり、重賞とも呼ばれることを理解しましょう。
そんな「G1」レースは、一年間でわずか24レース開催しか開催されない狭き門ですが、JRA(日本中央競馬会)の競馬には「格」があり、その順序は次のようになっています。
【オープン入り前】
新馬 ➡ 未勝利 ➡ 1勝クラス〈500万円以下〉➡ 2勝クラス〈1000万円以下〉 ➡3勝クラス〈1600万円以下〉
【オープン入り後】
オープン入り ➡ オープン特別 ➡ リステッド ➡ GⅢ ➡ GⅡ ➡ GⅠ
1年で約7000頭のサラブレッドが生産される中、「G1」に出走できる馬はそのうちのごくごくわずか。まさに「G1」は競馬の頂点であり、最高の晴れ舞台なのです。
同じ秋のG1レースでも、開催場所、出走条件、距離といったところが主な違いとなります。
例えば、秋のG1の皮切りとなる「スプリンターズステークス」は、中山競馬場、サラブレッド系3歳以上、芝1200mという条件で行われます。これはいわば「スプリント王決定戦」といったもの。陸上でいう100mのようなスピード感に満ちたレースなのです。
さらに、年齢制限のあるレースも競馬ならではです。
例えば「秋華賞」は、牝馬(メス)3歳限定のレース。馬の3歳は人間に換算すると17歳くらいの感覚なのだとか。つまり秋華賞は「将来有望な期待若手女子」が登場するレースということになります。このように、それぞれのレースの違いを知るとおもしろいですよね。
また、数ある秋のG1の中でも、特に注目のレースを紹介しましょう。
まずひとつめが「天皇賞」です。賞の名前からしてその格式の高さがうかがえますが、天皇賞には春と秋があり、春は長距離、秋は中距離という違いがあります。
なんといっても天皇賞のすごさは、超トップクラスの馬が集まること。芝2000mという中距離で行われることから、力のある馬が出やすいレースともいわれます。
さらに秋のG1でもうひとつ注目のレースが「ジャパンカップ」です。
「ジャパン」の名前がつくくらいですから、世界のトップクラスの馬が日本に集結します。つまり、国際大会であり、世界トップクラスの馬が競い合う高レベルのレースなのです。
かつては、海外の馬がとても強く、日本の馬が勝てない時期もありました。ところが、2006年以降は日本の馬が優勝を続けており、ホームでしっかりと力を発揮しています。
そして何といっても、このレース最大の特徴は賞金にあります。なんと、優勝(1着)賞金の額は3億円! さすが国際大会だけありますね。こうした点から、日本最高賞金額のレースのひとつとして、ファン注目のレースに位置づけられています。
── それぞれ特徴のあるG1レース。レースのこと、馬のことについて理解を深めると、より競馬の魅力がわかることでしょう。競馬場に行ったことのない人も、美しい馬の走りを見に、ぜひ一度行ってみてはいかがでしょう。