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日頃は頻繁に食さない「冬瓜」ですが、7~8月は出荷の最盛期を迎え、暑い盛りのメニューに登場します。
翡翠色で美しく、水分が多く口当たりもよく、味がたんぱく。お出汁などをしみこませて冷やしたものが好まれます。ご存知の通り、夏の収穫のあとカットせず丸ごと瓜のまま冷暗所においておけば冬まで貯蔵がきく食材のため「冬瓜」と呼ばれています。
韓国では、出産後の女性が養生する「産後院」で必ず登場するのが消化がよく滋養のある冬瓜のスープやお粥だそう。熱を加えても壊れにくいポリフェノールやビタミン、カリウムを豊富に含み、熱を加えることで出てくるとろみには消化器や粘膜を保護する働きもあるようです。
本日は、暑さに疲れた方や頑張り屋さんに効く、優しい「冬瓜」のよもやま話を見ていきます。
原産はインド。日本には平安時代の書物『本草和名』で記載があるほど古くから親しまれてきた野菜です。
丸形、円筒形、楕円形などさまざまな種類があり、園芸用では、少し小さめのミニトウガンが育てやすく人気です。
実の95%が水分で、低カロリーなのに、カリウム、ビタミンC、植物繊維が豊富で便秘解消、むくみやほてりもとってくれて、お肌や髪にもよいと美容やダイエットで再注目を浴びています。血糖指数(GI値)が低い食材として糖質制限医療推進会のメニューでもとりあげられていますね。
漢方では、体を冷やし痛みを止め、緊張をゆるめる効果が注目されています。乾燥した種には便秘解消や利尿、鎮咳作用があるといわれています。
世界三大伝統医学の1つであるインドのアーユルヴェーダでも、「気を下ろす作用がある」とされ、咳止めや解熱に用いられています。
「冬瓜」は、開花後45日程度の完熟した実を収穫するのが一般的ですが、開花後25~30日のものを若どりする方法もあります。完熟果は、表面のうぶ毛が少なくなり、白っぽく粉をふいたようになったら収穫適期です。
表面のうぶ毛は鋭いので、果実をさわるときは、厚手の手袋などをはめて作業します。熟すと淡緑色の外皮が白い粉を吹きます。皮が白いろう質の粉ににおおわれた頃から食べごろが始まりますよ!スーパーでは、すでに食べごろのものを半分にカットして売っていることも多いかもしれませんね。
ワタはスプーンでくり抜くと、取り除きやすいです。種、皮、わたにも重要な栄養があるため、スープなどは一緒に煮込み、途中で取り出します。実はあんかけなどの煮物、みそ汁やスープ、サラダでいただきます。
皮の農薬が気なる場合は、カットする前に重曹水に丸ごと30分ほどつけておくといいですね。
江戸時代には庶民の食べ物として出回り「かもうり」とも呼ばれていたようです。冬までもつ「冬瓜」は貴重な食材だったことでしょう。
今食べごろの「冬瓜」ですが、俳句の世界では秋の季語です。
暑さも盛りですが、暦上は確かに、立秋を迎えました。初秋~晩秋まで歌われているようです。
寒くなった今も畑には取り残された冬瓜がゴロリと横たわっている、、そんな寂しいようなたくましいような存在感あるイメージの「冬瓜」です。松尾芭蕉や高岡子規の句もありますよ。
冬瓜の俳句一覧
人が集まるお盆です。スープにも中華にも和食にもカレーにもエスニックにも応用が利き、なんにでもあう「冬瓜」。鳥や海老、ホタテ、そのほかの夏野菜と合わせてもよし、鰹だしや鳥のお出しをじっくり煮込むのもよし。
少し一息ついて、夏を味わい、体によい「冬瓜」料理を一品に加えてみませんか?
●参考・参照
森田敦子著「自然ぐすり」ワニブックス
うつくしいくらしかた研究所「くらしのこよみ」平凡社