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ビールのはじまりには諸説ありますが、紀元前8000~4000年も前に誕生したと言われています。メソポタミアで興ったシュメール文明の人々が残した粘土板には、ビールの作り方が記録されています。当時は、麦でつくったパンを水に浸して発酵させたものを飲んでいたんだとか。今のビールのつくり方とはまったく違いますよね。
後に中世ヨーロッパでは、修道院でビールがつくられるようになります。当時の修道士や僧侶は豊富な知識を持っており、醸造の知識にも長けていました。彼らがつくるビールは非常に質が高く、一般の人々にも広く飲まれるようになったそうです。
今ではホップを使ったビールが一般的ですが、当時ビールづくりに使われていたのは、ハーブや薬草を調合した「グルート」でした。ビールが世間に広まってから、修道院だけではなく一般の人々もビールづくりを行うようになります。しかし、ビールづくりが一般に広まると同時に、粗悪なビールもつくられるようになりました。そのため、ドイツ南部のバイエルン地方では、『ビール純粋令』というものが出されます。これは「ビールの醸造には、大麦・ホップ・水の3つ以外は使ってはいけない」というものでした。
結果的に、このビール純粋令によってビールの質が上がることになったのです。
日本にビールがやってきたのは、蘭学が盛んであった江戸時代後期のことです。当時の蘭学者たちは、オランダからやってきたビールを試飲したり試作などをしていたんだとか。後の黒船来航の際にはビールが贈られたされていますが、ビールが普及したのはもう少し後の時代になります。
ビールが日本の人々に広まるようになったのは、明治時代に入ってからのことです。明治3年に初めて日本にできた横浜の醸造所は、外国人が主なお得意先でした。しかし、明治14年には日本人向けのビールがつくられるようになり、さらに明治20年代に日本各地にビール会社が設立されたことで、徐々に日本でビールが広まるようになったのです。
明治時代、瓶詰のビールに使われていたガラス瓶は外国から輸入したもので、非常に高価なものでした。そのため、一般家庭で瓶ビールはあまり飲まれていなかったようです。しかし、大正時代、昭和時代と時が経つごとに瓶ビールは一般家庭に普及するようになり、今では日本の夏の風物詩とまでなっています。(ちなみに、ビールは夏の季語として使われています)
「とりあえずビール」なんていう決まり文句があるほど、私たちの生活に根付いているビール。今では、大手メーカーだけではなく日本各地で地ビールが生産されるなど、たくさんのビールがつくられています。なんと日本各地には地ビールの醸造所がおよそ300もあるんだとか!
夏休みシーズンに旅行や帰省をする方も多いと思います。その際は、その土地のビールを楽しむといいかもしれませんね。お気に入りのビールが見つかるかもしれませんよ。
<参考・参照>
SUNTORY
KIRIN
ビール酒造組合