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「炎天の地上花あり百日紅」
高浜虚子が歌ったとおり、暑い中でもサルスベリは新梢を伸ばしながら枝先に花芽をつくり、夏から秋にかけて次々と開花します。紅色だけでなく、白やピンクの品種もあります。紫色の花をさかせるサルスベリで、シマサルスベリとの雑種もあるようです。
落葉期に新梢すべてを切り戻す従来の剪定法による仕立て方のほか、根元まで切り落としたり、弱めの切り戻しと間引き剪定を組み合わせた自然風仕立てなど剪定により枝ぶりがかわるので園芸家には人気です。幼木から開花する一才性品種、這い性品種、うどんこ病に強い品種など、多くのタイプと花色が楽しめます。
今特に人気なのは、新たにアメリカで開発された渋い銅葉のサルスベリ「ブラックパール」です。白花と赤花がありますが、銅葉を背景に咲く姿には「これがサルスベリ?」と驚くほどの新鮮さがあります。モダンな雰囲気で、現代の家屋の外観ともよく調和します。
「雄弁」
葉や花が揺れ、盛んに話しているようにみえること、枝先に花が群生する姿が華やかで堂々としていることから、「雄弁」の花言葉がついたともいわれます。
「愛嬌」「不用意」
サルでも滑りそうなほどツルツルとした幹にちなんでつけられました。
「あなたを信じる」「潔白」
朝鮮半島の伝説で、ある王子が恋人に百日後の再会を約束して旅立ちました。
しかし、王子が戻るとすでに恋人は亡くなっていました。そして、恋人が埋葬された場所からサルスベリが生えたといいます。これが百日紅(ヒャクジツコウ)の名前の由来であるともいわれます。
ノンカフェインで口当たりがよくあっさりと美味しく飲みやすいお茶「ばな葉」は、和名はオオバナサルスベリ(大花百日紅)。フィリピンでは「てんにんか」(天人花)と呼ばれています。東南アジア原産で、サルスベリより大きな花がつき、古くからその葉を煮出し、健康茶(バナ葉茶)として飲まれてきました。
バナ葉茶の主成分のグリコース・グリコキニン配糖体には血糖値を下げる働きをすることから、植物ホルモンとも表現されています。ダイエット効果や豊富なミネラルから神経痛改善・胃腸病予防や、さらには便秘解消による肌荒れ改善などの目的でも人気があります。
サルスベリの花をストーリーの象徴として描かれた漫画が、杉浦日向子の代表作の一つ「百日紅」です。江戸時代の99話の怪談を描いた「百物語」と同様、連作短編集「百日紅」でも江戸の風俗を生き生きと描写し、葛飾北斎と浮世絵師たちの世界を展開しています。2015年には映画にもなり話題となりましたね。サルスベリに様々な思いを託し眺めてみてると感慨深い気持ちになってきますね。
まだまだ暑い日は続きますが、毎日の生活を愛しみ、心身を大切にお過ごしください!