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今回の展覧会タイトルにある100年は、モネが「睡蓮」の連作の集大成として、壁画の連作に着手した年からの年月を指しています。印象派の画家たちがアトリエを飛びだし、多くの目に映るものを描いたことは言うまでもありません。その中でも、モネはジヴェルニーに睡蓮の池を作り、1909年までに「睡蓮」の連作48点を製作しました。その後、妻・アリスの死、自身の白内障、長男の死、第一次世界大戦により次男の出征…とさまざまな障壁を乗り越えて、新たに1918年2月までに8点(予定12点)の「睡蓮」の壁画が完成しました。
今回の展覧会では、モネを印象派の巨匠から現代芸術の祖と位置づけており、会場に入ると真紅のパネルに「つまり、モネは印象派ではなく、あらゆる現代美術の生みの親ではないのか?」という言葉が目に入ります。モネから印象派以降の作家に引き継がれた技術や、影響を受けた作品を関連付けて展示されています。光を描いたと評されることが多い印象派ですが、その後の抽象主義以降、光から色彩へと表現の中心が移り変わります。印象派から抽象主義、モダンアートへ…何がどのように受け継がれているのでしょうか?展示は、1.新しい絵画へ—立ち上がる色彩と筆触、2.形なきものへの眼差し―光、大気、水、3.モネへのオマージュ—さまざまな「引用」のかたち、4.フレームを超えて―拡張するイメージと空間…以上の4つのテーマに沿って行われています。
モネは「私が本当に表現したいのは、描くものと自分との間にある『何か』なのです」と言っています。描く対象とモネの間にあるもの…それは空気であり、風であり、目には見えない「形なきもの」なのです。その一つに水があり、「睡蓮」へと繋がります。「睡蓮」という作品は、花そのものではなく、池に浮かぶ様子や水面の気配を描いていたのではないか…4.フレームを超えてー拡張するイメージ、の展示コーナー・円形空間に展示されている、「睡蓮」の連作を観てそのように感じました。この空間では、モネの《睡蓮、水草の反映》と、鈴木理策《水鏡 14,WM-77》《水鏡 14,WM-79》の対比も印象的です。モネの水草の大胆なフレームアウトと、鈴木の水鏡の静謐な余白は、まるで表現の反射=水鏡のようです。
オマージュ作品として、アンディ・ウォーホール、モーリス・ルイス、ロイ・リキテンスタイン、ルイ・カーヌ、松本陽子、福田美蘭etc…国内外の作家の作品がモネの作品と交互に並んでいます。、福田美蘭は今回の展覧会へ新作も寄せていますのでそちらも注目です!どうぞあなただけの新しいモネを、モネとその周辺を見つけてください。
開催概要
・場所:横浜美術館(みなとみらい)
・会期:7月14日〜9月24日
・アーティストトーク 7月29日14時~
・学芸員によるギャラリートーク 8月3日、31日、9月15日
※詳細はリンクサイトよりご参照ください。
※写真は7月14日夜間特別鑑賞会の際に、主催者の許可により撮影したものです。
※展覧会図録「モネそれからの100年」参照
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