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記憶に新しいところでは、それは2017年7月18日に東京都心部で大量に降ったのですが、あの時は山手線が止まるという大きな被害が生じました。ここまで言えば気づく方も多いのでは? そう、それは「雹(ひょう)」です。
雹は初夏から入梅時季に起こる気象現象のこと。夏なのに氷が積もっている光景はまるで異次元の世界のように見えますが、今回は「なぜ夏なのに氷が降るのか」「雹はどうやってできるのか」といった、雹の語源やメカニズムを調べてみました。
まず、雹の発生は積乱雲と関係があります。
積乱雲が発生する際に「水滴が雲の中で転がされる」→「次第に氷の粒になる」→「上昇気流の勢いで何度も上昇と下降を繰り返す」→「雪だるま方式に大きくなっていく」……。
このサイクルを経て最初は水滴だったものが、地上に落下すると雹になるのです。
また、大きさが5ミリ以上のものを雹と呼び、それ以下ものを「霰(あられ)」と呼びます。時季的には初夏から梅雨の時季に多く、この時季の上空は気温が低いので氷となりますが、気温の高い真夏には落下途中で氷が溶けてしまうので、雹にはならずに雨になります。さらに、霰は夏には降らず、冬に降るのが特徴です。
雹の大きさに関していえば、大きいものだとゴルフボール大のものもありますが、過去にはかぼちゃ大のものが降った記録もあるそう! いずれにしても、氷の塊が空中から勢いよく落ちてくるのですから、十分な注意が必要ですね。
農作物や人的に被害をもたらす雹。できれば降る前に予測できたら安全なのに……と思いませんか?
しかし残念ながら、今のところ予測は難しいとのこと。ましてや気候変動に伴う異常気象が世界各国で多発している昨今ですので、自己防衛するに越したことはありませんね。
街中や道路にいるとき、
●大空に見える積乱雲が急激に発達してきた……
●怪しげな風が吹いてきた……
●急に暗くなってきた……など、普段と違う様子のときは要注意です。雹や雷、激しい降雨などが起こる可能性がありますので、地下を避けて屋内に避難することが賢明な行動といえるでしょう。
ところで、「雹」は“雨を包む”と書きますが、その語源は氷の雨(ひょうう)といわれています。また、雹の別名は「氷雨(ひさめ)」。40代、もしくはそれ以上の世代の方なら「あれ?」とお思いでしょう(笑)。
実は、氷雨はれっきとした夏の季語なのです。氷がつくので冬と思いがちですが、雹と雨が一緒に降る現象のことを氷雨と言うそうですよ。
── 言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活にふくらみを持たせてくれるはず。例えば、雷、夕立も積乱雲から派生する夏の季語の仲間です。これらを知っておくことで、ときに身を守り、人に注意をうながせる「知って得する季語」になるのではないでしょうか。