- 週間ランキング
日本では新年の食べ物というとお雑煮やおせち料理を思い浮かべる人が多いですね、おせち料理には「ハレの日」を祝う縁起物の食材が多用されていますが、一例を上げるだけでも、かまぼこ、伊達巻、栗きんとん、黒豆、昆布巻、田作り、小肌粟漬、エビ、数の子、紅白なます、ごぼうなど……とバラエティ豊か。
おせち料理には、これらの縁起食材がぎっしり色鮮やかにお重に詰まっていますが、すべて「ハレの日」にふさわしい明確な理由があるのです。
そこで最初に「祝い肴三種」をご紹介しましょう。
この3つが揃えばおせちの基本形が揃うというめでたい食材は「数の子」「黒豆」「田作り(ごまめ)」「たたきごぼう」になります。でも「祝い肴“三種”」なのに“4つ”の食材は変でしょ?と思った方、なかなか鋭いですね。実は、
●関東風の肴三種は「数の子」「黒豆」「田作り(ごまめ)」
●関西風の肴三種は「数の子」「黒豆」「たたきごぼう」の違いがあります。
【祝い肴三種のひとつ・子宝の縁起物、数の子】
数の子の粒(子)の多さから子宝の縁起物。数の子の親である「にしん」が父と母が健在である「二親(にしん)健在」の意味に通じるため、健康な親から多くの子が生まれるのはめでたいことだ、という子孫繁栄への思いが込められています。
【祝い肴三種のひとつ・邪気を払い災いから守る黒豆】
こまめに動く、まめまめしく働くなどの言葉から「息災」「達者」「元気」健康」を表す「まめ」。平安時代から「座禅豆」として修行僧に食べられていた黒豆は、江戸時代になると甘く煮たお正月のおせち料理として作られるように。艶よく光る黒豆は体によいだけではなく「邪気を払う」「災いから守る」「勤勉」「勤労」「元気」「健康」などの意味をもつ祝肴です。
【関東の祝い肴三種のひとつ・五穀豊穣をもたらす田作り(ごまめ)】
関東・関西ともに祝い肴三品である田作りは、片口鰯の小魚(ごまめ)を使った小魚でありながら、立派な尾頭つきが特長。「ごまめ」を使った「田作り」には「健康」「豊作」「子孫繁栄」の願いが込められた、五穀豊穣をもたらすおめでたい料理の代表選手なのです。
【関西の祝い肴三種のひとつ・五穀豊穣をもたらすたたきごぼう】
たたきごぼうの形が、豊作の際にエサをついばみに飛んでくる黒い瑞鳥(たんちょう)の姿に似ていることから、「瑞鳥はめでたいことが起きる前兆」と言われるようになり、豊作を願う人々が、ごぼうを食べるように。さらに関東の祝い肴三種は「数の子」「黒豆」「田作り(ごまめ)」、関西の祝い肴三種は「数の子」「黒豆」「たたきごぼう」と分けられることが多いのですが、関西エリアの中にもごぼうではなく田作り(ごまめ)をおせち料理とするエリアも多いよう。いずれにしても五穀豊穣をもたらす縁起物であることに変わりないですね。
では、そのほかの祝肴についても見ていきましょう。
【健康+長寿の願いが込められたえび】(画像・黒豆の右側)
熱を加えるとえびは背中の部分が丸くなりますね。この形状と長いひげから、腰が曲がるまで、ひげが伸びるまで……と、高齢になっても物腰やわらかく、誰からも愛される存在として長生きできますようにという長寿への願いが込められています。
【魔よけと清浄への願いが込められた紅白かまぼこ】(画像・黒豆の下)
半円形のかまぼこが日の出に似ていることから新しい門出にふさわしい「日の出」を象徴し、紅はめでたさと慶び、白は神聖を表しています。ちなみに、元旦は「1月1日の朝」、元日は「1月1日」の違いがあります。意外と「元旦の朝」と間違える人が多いので、この機会に覚えちゃいましょう。
【おしゃれかつ、学問成就への願いが込められた伊達巻】(画像・黒豆の左側)
江戸時代に長崎(出島)から江戸に伝わった「カステラ蒲鉾」は、魚のすり身と卵を使用したカステラ風のかまぼこを指しますが、当時その色合いがシャレ者の意味をもつ伊達者が身にまとっていた着物に似ていたことから、伊達巻と呼ばれるように。シャレ者特有の見た目の華やかさに加え、巻物の形が書物に似ている点からも、学問や文化を意味もあわせもつ伊達巻は、学問や習い事の成就を願う縁起食材でもあります。
【良縁と不老長寿の願いが込められた昆布巻】(画像・黒豆の斜め左上)
「よろこぶ(養老昆布)の語呂合わせから不老長寿の意味をもつ昆布巻は、鏡飾りにも用いられる縁起食材。なかでも煮しめの結び昆布は健康長寿、子孫繁栄を願った祝肴であり、昆布が結ばれた形から「良縁に恵まれますように」という願掛けも。元気に長生きしたい方はもちろん、今年は結婚するぞ!という決意した方は、昆布巻を食べてゲン担ぎしちゃうましょう。