今日はクリスマス。一年で最もロマンチックな日ですが、ロマンチックかつ壮大な夢として、最近ネット等で多く取り上げられている「日本発〈人工流れ星〉計画」。

この計画は、宇宙ベンチャー企業「ALE(エール)」を立ち上げた日本人起業家・岡島礼奈さんによるビジネスモデルなのですが、その発想はとてもユニークです。それは「人工衛星からビー玉ほどの大きさの玉(粒)を宇宙空間に放出して、地上から“流れ星”のように見える〈人工流れ星〉を作る」というもの。その計画は、いつ頃、どこで、実現するのでしょうか。気になりますね。

今日は、ユニークかつ大胆な発想に基づく「〈人工流れ星〉計画」について調べてみました。

日本発「人工流れ星」計画は、日本人起業家・岡島礼奈さん起案のビジネスモデルです


「日本発〈人工流れ星〉計画」を起案した起業家・岡島礼奈さん

1979年2月に鳥取県にて誕生した岡島礼奈さんは、世界初の宇宙エンターテインメントのベンチャー企業「ALE(エール)」を立ち上げた日本人起業家として、いま世界から注目を集めています。

東京大学理学部天文学科卒業後、同大学院理学系研究科天文学専攻にて博士号を取得した岡島さんは現在、国やJAXA、東北大学、首都大学東京、神奈川工科大学、日本大学ほか様々なパートナーシップ企業との共同プロジェクト「日本発〈人工流れ星〉計画」の技術開発に取り組んでいます。

小学生のときにアインシュタインの相対性理論を描いたマンガを読み、さらにその当時、世界的に有名になったホーキング博士の影響を受け、「ブラックホールって、いったいどんなものなの?」と夢想していたと言う岡島さん。その頃に「科学の道をめざしたい」と漠然と考えたことはあったものの、「まさか自分が宇宙関連の会社をつくり、そのトップになるとは思っていなかった」と語ります。

アインシュタインといえぱこの写真。右は〈アインシュタインメモ〉をもとにしたイラスト


エンタメ+科学が融合した「日本発〈人工流れ星〉計画」とは?

「日本発〈人工流れ星〉計画」の理論は思ったよりシンプルで、その仕組みを簡潔に表現すると、「人工衛星から、ビー玉ほどの大きさの玉を宇宙空間に放出する

すると、地上からそれが流れ星に見える」というもの。

しかし、事はそれほど容易ではないようです。というのも、岡島さんは学生を対象とした講演会などで、次のような言葉でその難しさを説明しています。

「人工流れ星を放出する場合、あらゆる法律を勉強しないといけません。例えば、放出したビー玉が第三者の宇宙物体に損害を与えた場合、その損害賠償はどうなるのか。さらに、飛行する航空機にビー玉大のものが衝突した際、どのような影響が生じるのか。その影響を考えるうえでも航空法に精通しなくてはならない」と。

※「法規制」「環境面への影響」「人や家屋、旅客機への影響」等、様々なリスクについては、

「SHOOTING STAR CHALLENGE」オフィシャルサイトに詳述されています。

ビー玉ほどの大きさのものが流れ星になるなんて! その発想に驚かされますね


〈人工流れ星〉計画を実現に導くスリーステップ

夢に満ちた計画につきものの相反する難しさを十分に想定したうえで、宇宙ベンチャー企業ALE(エール)のオフィシャルサイトには、「日本発〈人工流れ星〉計画」実現に向けて次のスリーステップ(How it works)が発表されています。

「SHOOTING STAR CHALLENGE」オフィシャルサイトの言葉をそのまま引用させていただくと、

「〈人工流れ星〉計画」のスリーステップ

●How it works 01

流れ星の素材となる粒を搭載した人工衛星を宇宙空間に向けて打ち上げ

↓☆↓☆↓☆↓☆

●How it works 02

人工衛星に搭載した装置で、流れ星の素材となる粒を放出

↓☆↓☆↓☆↓☆

●How it works 03

粒が大気圏に突入。プラズマ発光しながら燃えて流れ星になります

※「SHOOTING STAR CHALLENGE」オフィシャルサイト

計画は着々と進行している模様で、「2018年末から2019年初春に人工衛星を打ち上げ、2019年初夏に広島県の瀬戸内海で初回チャレンジ予定」とも発表されています。

また、岡島さん率いるALEのオフィシャルサイトのトップ画面は無数の流れ星が夜空を彩るロマンチックなデザインになっていますが、その中央に置かれた「Coming soon in 2019」の一語に、多くの人が心躍らせていることでしょう。

2019年に広島県の瀬戸内海で、初めての〈人工流れ星〉ショーが開催される!?


ところで、流れ星って、そもそも何?

流れ星とは、宇宙空間に無数にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリが、地球の大気圏に突入した際に大気と激しく衝突し、高温になったチリが光を発する現象を指します。

さらに詳しく言うと、彗星や小惑星などの「母天体」が放出する細い帯状の一連の流星物質(これを/ダストトレイル〈Dust Trail〉と言います)が存在するのですが、その流星物質の軌道と地球の軌道が交差した時、ダストトレイルと地球との衝突によって流星群が生じるのです。

さらに、ひとくちに「流星群」といっても種類があり、

■毎年同じ時期に出現する「定常群」

■数年~数十年のスパンで出現する「周期群」

■突然活動を始める「突発群」があります。

例えば、毎年出現する「定常群」のペルセウス座流星群であっても、大きな惑星の引力によって軌道が年によって若干ずれるため、出現する流星数は「当たり年」とそうでない時があります。

逆に、流星物質の空間密度の高いダストトレイルと地球が遭遇した時は、「大流星雨(降り注ぐ雨のように見える現象)」、あるいは「流星嵐(1時間に1000個以上流れる現象)」といわれる「大当たり年」となるのです。

──「今は会社として人工流れ星をビジネス化して収益を得て、それをもとに基礎科学を発展させたい」と、笑顔で語る岡島さん。2019年の明確な日時はまだ発表されていないようですが、「大流星雨」「流星嵐」とはいわずとも、まとまった数の流星が夜空を彩るその日が、待ち遠しい限りですね。

気になる方は、「SHOOTING STAR CHALLENGE」オフィシャルサイトをこまめにチェックして、その日を心待ちにしましょうね!

参考/ALE株式会社オフィシャルサイト

「SHOOTING STAR CHALLENGE」オフィシャルサイト

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 日本人・女性起業家による世紀の挑戦「日本発〈人工流れ星〉計画」は実現なるか?