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「スポーツの秋」と注目されるようになったのは、1964年のとあるビッグイベントからだといわれています。そう、戦後日本の復興の象徴として、国民の希望となった東京オリンピックです。このとき、東京オリンピックの開会式は10月10日に行われたのですが、ここ最近のオリンピックでは8月開催が基本となっているので、10月開催は今にしてみると意外ですね。
10月10日の東京は例年、晴天になる確率が高い日だったこともあり、この日に開会式が設定された経緯があります。そして、1966年からは東京オリンピック開催にちなんで、「体育の日」が国民の祝日として制定。そんな体育の日ですが、「国民がスポーツに親しみ、健康な心身を培う日」というねらいが定められているのをご存じすか? つまりは、 10月10日は日本のスポーツ界にとって非常に大事な日であり、同時にスポーツをしやすい天候に恵まれた日でもあることから、「スポーツの秋」がうたわれていったといえるのです。
秋の夜長は……、とよくいわれますが、その字のごとく秋の夜は長いのです。太陽が昇り、沈むまでの時間が短いため、「秋の夜長」という言葉が生まれました。そんな秋の夜長を有意義にすべく、古代中国ではこんな言葉が広まりました。
〈灯火(とうか)親しむべし〉
これは、中国・唐中期を代表する文人・韓愈(かんゆ 768年 - 824年)による詩で、「秋の涼しさが気持ちよく感じられ、灯りがなじむようになる」という意味になります。つまり秋の夜長は、灯りをともして読書をするのに最適だという意味が込められています。
また、目安ではありますが、脳を働かせるのに最適な気温が14~16度くらいだそうなので、気候的に涼しくなった秋の日は、読書をするのに適した気候といえることから「読書の秋」がうたわれていったといえるのです。
「芸術の秋」という言葉が一般的にうたわれるようになったのは、ある雑誌がきっかけだったといいます。今から99年前の1918年に発行された雑誌『新潮』の中で、「美術の秋」という記載があったことから派生していることも、「芸術の秋」の由来とされ、加えて、秋には大きな美術展が続々と開催されます。二科展、日展、院展と日本を代表する展覧会が集中しているのも秋です。こうしたことからも「芸術の秋」といわれるようになったようです。
―― 秋は何をするにも心地よい気候のため、「スポーツの秋」「読書の秋」「芸術の秋」といった言葉が続々と誕生してきたといえるでしょう。気候が穏やかな秋の間に何か新しいことを始めてみるのもよいかもしれませんね。