- 週間ランキング
スーパーでは、佐賀県産や広島県産など、北海道以外の産地のアスパラも並んでいますが、北海道産が入ってこないと流通するアスパラの絶対量が少ないので、全体的に価格が上がっています。また、北海道産が入ってきたとしても、あまりにも細いものばかりです。北海道産らしい、どっしりとした太いアスパラにはなかなかお目にかかることができません。小売店では仕入れ値が去年より2~3割高くなっているので、店頭に並ぶアスパラには例年より高値の札がついています。買い物客も「高くて手が出ない」と、購入を控えています。
都内の串揚げ店では、毎年、北海道産のアスパラ1本に薄切りの豚肉を巻きつけて揚げたものが大好評で、常連客もこれを楽しみにしていました。ところが、道産のアスパラが収穫できないということで仕入れが打ち切られ、やむなく別の産地のものに切りかえざるをえません。
さらに、北海道以外の産地でも、去年の長雨の影響で出荷量が4割ほど落ちたところもあり、全国的にアスパラは品薄状態です。
札幌市中央卸売市場では、去年の同じ時期と比べると、1kgあたりの価格が100円ほど高くなっています。また、取り扱われる量自体も2割ほど少なくなっています。また、東京の中央卸売市場でも、4月の時点で1kgあたり1800円を越し、ここ10年でもっとも高い価格になっています。
北海道の道の駅や土産物店では、例年、新鮮なアスパラを買い求めたり、発送したりする観光客が多数いますが、今年は「お一人さま2束まで」と数に制限をもうけているところもあります。
また、北海道では「アスパラギフト」といって、収穫前に予約して、収穫順で道外に新鮮でおいしいアスパラを贈ることが定番となっていますが、今年は予約してもなかなか発送できずにいる販売店も多く、贈る側も贈られる側も、今か今かと待っている状態です。
どうしてアスパラがこんなに不作なのでしょう。
その原因は、去年の天候が影響しています。今年芽が出るアスパラは、去年の秋に、光合成でどれだけ根に栄養(糖度)を蓄えたかで、おいしさや収量が決まります。ところが、去年の夏は北海道に何度も台風が襲いかかり、農地に甚大な被害を与えました。また、去年は10月の早い時期から雪が積もったことも影響しています。
今年のアスパラは、芽が出ないわけではありません。ただ、出てきたとしても、茎が細く、北海道らしい太いものはなかなか出てこないのです。このような状況は農家にとってもはじめてのこと。
今後、雨で水分が増え、夜の気温が上がれば収量が回復するかもしれないと、農家では期待を寄せています。
〈参考サイト:日テレNEWS24「今が旬、アスパラが記録的不作 別の問題も」、寺坂農園「やっぱり…アスパラガス大不作」〉
北海道に上陸した去年の台風は、タマネギやニンジン、ジャガイモやトウモロコシなど、様々な農作物に影響を与えました。それから9カ月以上も過ぎた今年の6月、今度はアスパラにも影響が出ています。国産のアスパラは旬の時期しか味わうことができません。今後の天候の回復に望みをかけて、太くておいしいアスパラが出回ることを待ちたいものです。