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気分を盛り上げてくれる華やかな色合いは、ロゼワインの大きな魅力。その色調は、ほんのり薄いピンク色から赤に近い濃いピンクまで、とてもバリエーション豊か。まずはその色を楽しみましょう。ロゼワインに使われる色調表現は、「グレー」「シャンパーニュ色」「サーモンピンク」「オレンジ」「ラズベリー色」「紅梅色」など、実に多彩です。なかには、「ヤマウズラの目の色」「玉ねぎの薄皮色」といった、ちょっとユニークな表現も。
幅広い色調表現と同様に、ロゼワインは料理や食材との相性も幅広いのが魅力です。目安として、透明感があり淡いピンク色のロゼワインは、甘みのある野菜やサーモン、エビやカニなどの魚介類、和食との相性がよいタイプ。もうすこし凝縮感のある赤に近い色の場合は、シャルキュトリー、中華やエスニック、焼鳥や豚肉とも好相性です。
フランスにはロゼワインの三大産地があり、それぞれ特徴の異なるワインに出会えます。まずは、この産地のロゼワインを試してみて、お気に入りをみつけるのもおすすめです。
バカンスといえば、高級リゾート地ニースやフランス最古の港町マルセイユが位置するプロヴァンス地方が思い浮かびます。こちらの地方では、赤ワイン、白ワインよりもロゼワインの生産量が多く、「プロヴァンスといえばロゼ」といわれほど。南仏特有の品種でつくられた、個性豊かなロゼワインを楽しめます。比較的手頃な価格で、すっきりした味わいのワインが多いのも特徴です。生産量が少ない「バンドール」は、高級ロゼワインとして有名。こちらは、オレンジ、ラズベリー色など濃いめの色調で、しっかりした辛口タイプです。
コード・デュ・ローヌ地方の「タヴェル」も、フランスを代表するロゼワイン。コクがある辛口タイプで、ややオレンジがかったピンク色をしています。
ロワール地方の「ロゼ・ダンジュー」は、明るいサーモンピンク色で甘めのやさしい味わい。辛口で飲み応えのある「カベルネ・ダンジュー」もあります。
赤ワインと白ワインをブレンドするとロゼワインができる、わけではありません。このような製法は、一般的に禁止されています。では、どのようにしてロゼワインはつくられるのでしょうか。ロゼワインのために使うのは、基本的に赤ワインと同じ黒ぶどうですが、主な製法が2種類あります。この製法によって、ロゼワインの色調や味わいが変わってくるのです。
◎赤ワインに近い「セニエ法」(血抜き法)
黒ぶどうを除梗(じょこう、茎を取り除くこと)・破砕(はさい、軽く潰すこと)し、果汁・果皮・種を一緒にタンクに漬けこみます。果皮から色素を抽出して、果汁が淡く色付きピンク色になったら、果汁のみを引き抜いて発酵させます。果汁を引き抜くタイミングによって、色の濃さが違ってきます。
◎白ワインに近い「ダイレクトプレス法」(直接圧搾法)
黒ぶどうを除梗・破砕、プレス(圧搾)し、最初から果汁のみを発酵させます。果皮を一緒に漬けこまないため、淡い色合いに仕上がります。
ロゼというと日本では甘口のイメージがあるかもしれませんが、意外にも世界でつくられているロゼワインは圧倒的に辛口が多いそう。辛口のロゼは重すぎず軽すぎずバランスがよいので、どんな食事にも合わせやすいのです。ピクニックやバーベキューなどのアウトドアにも、守備範囲の広いロゼがぴったり。ロゼワインをキリッと冷やして、フレッシュな果実味と豊かなアロマを初夏の空気のなかで楽しみましょう!
参考文献
マデリーン・パケット、ジャスティン・ハマック『The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド』日本文芸社 2016
君嶋哲至 『ワイン完全ガイド』池田書店 2009