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たけのこを食べましょう!と言っても、二の足を踏む方は多いでしょう。皆さんご存じのように、たけのこは下処理が大変で、水煮を買わない限りその面倒は避けて通れません。
しかしこの面倒な食べ物を、日本人は古事記の時代から食していたようなのです。当時は現在ポピュラーな孟宗竹(もうそうちく)などの中国原産種ではなく、日本に自生していた真竹(まだけ)を食べていたと思われます。
たけのこは世界で約1000種類、日本だけでも約70種類ありますが、その中で食用にできるのは真竹、孟宗竹、淡竹(はちく)、根曲がり竹など限られた種類のみ。
孟宗竹は3月中旬~5月頃、続いて淡竹、真竹や根曲がり竹は5~6月頃に出まわります。旬の地域が「たけのこ前線」となって、南から北上していくのです。
1カ月を上旬、中旬、下旬と区切るように、“旬”は「十日間」を意味します。たけのこ(=筍)は竹冠に旬と書きますが、これはたけのこが土から顔を出して十日もすれば竹になってしまうことに由来するのだとか。
そして、それほど成長が早いにもかかわらず竹は百年以上の寿命をもつといいます。古来の日本人も神秘的なパワーを竹に感じたのでしょう。かぐや姫が竹の中に宿る「竹取物語」が今に伝わるのも、うなずけますね。
淡竹の中にある半透明の膜は、昔から滋養強壮効果がある漢方薬として使われてきました。
一説には「竹取物語」も、これを飲んでいた老夫婦に赤ちゃんができ、照れ隠しで「竹やぶから拾ってきた」ことにしたのが始まりともいわれています。
実際たけのこに含まれる成分にはさまざまな美容・健康効果が期待できるんですよ。
■セルロース、リグニン(食物繊維)……腸の機能改善、便秘解消、ビタミン吸収率UPで美肌効果
■ビタミンB1、B2……肌の調子を整える
■カリウム(ミネラル)……体内の塩分調整(排出)、高血圧予防、むくみ改善
■チロシン、コリン……代謝促進、二日酔いやのぼせの改善
■グルタミン酸、アスパラギン酸(アミノ酸)……疲労回復
低カロリーで美容・健康成分が多く含まれるたけのこですが、食べ過ぎるとアレルギーに似た症状を起こすこともあるので注意してくださいね。
たけのこ堀りに行くなら、地面に出ている部分が少ないものを探しましょう。
土に隠れているものを丁寧に掘りだし、1時間以内に食べられるのであれば生のままもしくはさっと湯がいて薄切りにし、わさび醤油でいただくのがおススメ。ほのかな甘みが口に広がり、贅沢な春のごちそうになります。
「たけのこを掘りはじめたら湯をわかせ」といわれるように、たけのこは時間がたてばたつほどアクが増しえぐみが出てきます。すぐに食べられない場合は、できるだけ手早く下ゆでしましょう。
【手順1】まず、皮つきのまま穂先を斜めに切り落とし、さらに皮を剥きやすいように縦に1本切れ目を入れます。
【手順2】たっぷりの水とたけのこを入れた鍋を火にかけ、米ぬか2カップ、赤唐辛子2~3本を加えて沸騰させます。沸騰したら、落としぶたをして弱火で1時間ゆでます。
【手順3】たけのこの根元に竹ぐしを刺し、すっと通ったら火を止め、ゆで汁の中でそのまま冷まします。
【手順4】十分に冷めたらよく水洗いし、切り目から皮をむきます。保存する場合は密閉容器にたけのこを入れ、水を張って冷蔵庫へ。
時々水を入れ替えれば、10日ほど日持ちします。
たけのこは部分によって硬さが異なり、適した料理も違います。
【穂先】穂先に近い薄くてやわらかい部分(姫皮)は酢の物やサラダに、穂先は炊き込み御飯や焼きたけのこなどがよいでしょう。
【中央部分】煮物や炒め物、天ぷらなどの揚げ物にぴったり。乱切りや輪切りにして調理しましょう。
【根元部分】繊維がしっかりしていてやや硬い食感ですが、薄切りにしてしっかり火を通せば美味しく食べられますよ。
―― たけのこというと和食や中華料理を思い浮かべがちですが、リゾットやパスタなどの具にするのもおススメ!独特の食感が、いつもの料理を季節感たっぷりのオシャレな一皿にしてくれることでしょう!
ちょっと面倒な下処理を頑張って、たけのこで春の食卓を楽しんでみてくださいね!