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紫外線というのは、太陽から届く日射の中で、人の目に見える光よりも波長の短いものです。
紫外線の中でも、さらに波長の長いほうからA、B、Cと大きく3つに分けられていて、生物に大きな影響を与えるといわれるUB-B(波長280-315nm)は、太陽からの日射のおよそ0.1%を占めています。
UB-Bは人の目には見えませんが、生物にあたえる影響は強い光線で、長い時間あたっていると、日焼けや皮膚の加齢、皮膚がんや白内障などの病気の原因になると考えられています。
一方で、紫外線が皮膚に当たることで、骨の健康を保つために必要なビタミンDが作られます。
殺菌作用もあって医療施設などで利用されるほか、日光消毒という言葉があるように、生活の中でも布団や洗濯物を日に干したり、また布団クリーナーなど、紫外線を利用して除菌する商品もあります。このほか男性にはあまりなじみがないかもしれませんが、爪に装飾を施すジェルネイルでも紫外線を利用しています。
紫外線の呼び方はいろいろありますが、例えば「UV」。
これは、紫外線を英語で表記したUltra Viole(ウルトラ ヴァイオレット)の略語です。Ultraというのはもとはラテン語で「超」といった意味があります。直訳すると「超紫」。可視光線の中でも波長の短い紫を、さらに超えた紫といった意味があります。
また、ちょっと可愛らしいものでは、紫色のすみれの花から「菫(すみれ)」という字をあてて「菫外線(きんがいせん)」ということもありますし、化学反応を起こしやすいといった理由から、紫外線を「化学線」と呼ぶケースもあるようです。
私たちの生活にとってよい面も悪い面もある紫外線ですが、そのとらえ方は時代によって変化が見られます。
ひと昔前までは、よく日に焼けた小麦色の肌は健康の象徴としてとらえられていました。風邪をひきにくくなるといわれたり、妊娠した際に交付される母子健康手帳でも、子どもの日光浴について書かれていました。
しかし、環境面でのオゾン層の破壊による紫外線の増加や、紫外線が人の体に与える影響について関心が高まる中、母子健康手帳からも「日光浴」という言葉は削除されるようになりました。特に赤ちゃんは、大人と比べても皮膚が薄く影響を受けやすいため、長時間にわたって強い日光にあたることは避けたほうがいいと言われています。
ところが最近では、極端に日光を避けるためか、骨の成長に必要なビタミンD不足による影響も出ています。歩き始めるころから骨が曲がりやすくなって極度のO脚になってしまう「くる病」が増加しているといった話題も聞かれるようになっているのです。
紫外線は、浴びすぎるのも問題ですが、極端に避けすぎてしまうと、それもまた健康に影響をおよぼすことがわかっているのですが、ちなみに紫外線の量は季節だけでなく、時間帯や地域、その日の天気によっても変化します。
また、紫外線によって受ける影響も、個々人の年齢や体質などで異なります。
なんともつき合い方の難しい光線ですがこれからの季節、自分にあった対策を心がけたいですね。
参考:環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」(PDF版)、国土交通省 気象庁ホームページ