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野山で自生している植物で、しかも食用になるものを山菜といいます。
栽培されているものとは異なり、品種改良などはされていません。そのため苦みやクセがあるものも多く、それがかえっておいしく感じられるということもあります。
とはいえ、最近では一般の野菜と同じように栽培され、スーパーなどで販売されている山菜もあります。
また、それぞれの地域によって生えているものも違いますし、同じ植物でもある地域ではごく一般的に食べられているけれど、ほかの地域に行くと食べないといったこともあります。
春先に野原や土手など、日当たりのいい場所に生えているのを見かけます。春の季語にもなっているつくしは、筆を立てたような姿から、漢字では「土筆」と書きます。
袴(はかま)と呼ばれる節を取って、胡麻和えや卵とじにしたり、油でいためたりして食べます。
「つくし誰の子、スギナの子」ともいわれますが、つくしが育ってスギナになるわけではありません。胞子茎(ほうしけい)といって、スギナが繁殖するための胞子を出すのがつくしです。
成長が早く、一日で1センチも伸びるそうです。そのため、花言葉では「向上心」「努力」という意味があります。また、つくしが生えた後に、つくしとは色も形も異なるスギナが一面に生息することから、「意外」「驚き」といった言葉もあるようです。
一方、その名前の由来には諸説あります。スギナについて生えるので「付く子」からつくしになったというものや、袴の部分で継いであるから「継く子」という説。さらにその成長の早さからか「突く突くし」からつくしになったという説もあります。いろいろないわれがあるということからも、人々に親しまれていたことがうかがえます。
ちなみに「つくし世代」という言葉もありますが、こちらの「つくし」は「(相手に)尽くす」からきています。山菜のつくしとはまるで関係がありません。
春を代表する山菜のひとつ、ワラビはシダの仲間です。
日当たりのよい山肌などに生えています。
葉が開く前、まだ葉がくるりと小さく丸まっている若芽を食用にします。ぬめりや歯ごたえがあります。
アクが強く、また牛や馬などが食べると中毒を起こす、発がん性物質を含んでいると言われますが、きちんとあく抜きをすれば問題ないようです。おひたしやてんぷらなど、いろいろな料理が楽しめます。
また、地下茎からはワラビ粉が採れます。わらび餅は本来、このワラビ粉から作られます。弾力があり、加熱によって濃い茶色になるのが特徴です。ただワラビ粉を取るのは困難な作業のため、昔から貴重な食材とされてきました。
「の」という字を書いているような渦巻き状のぜんまいは、春の新芽をいただきます。
あく抜きをして食べることもありますが、ゆでた後に乾燥させて保存しておき、食べるときに水で戻して料理に使います。その乾燥方法も天日干しにする「赤干し」と、燻製のようにする「青干し」とがあります。
また、ぜんまいには「男ぜんまい」と「女ぜんまい」があって、採るのは「女ぜんまい」だけ、といわれています。「男ぜんまい」は胞子を出す「胞子葉」のことで、これを採ってしまうとぜんまいが増えないから、また栄養葉である「女ぜんまい」より硬いから……といった理由があるようです。
そのほか、ぜんまいの新芽に生えている綿毛は昔、木綿布があまり手に入らなかった時代には、織物にも使われていました。真綿などに混ぜて糸を紡ぎ、その糸を綿糸または絹糸と合わせて織られた布は、保温性にも優れていたとか?
食べるだけでなく、いろんな活用のしかたがあるのですね。