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ラジオの特性は、その地域で必要とされている生活情報を、きめこまかく伝えることができること。インフラの復旧状況、ゴミの収集の有無、郵便局の再開、免許の再交付……など、地元の人びとが本当に必要としている情報を伝えることができるのは、ラジオならではといえるでしょう。
1995年に発生した阪神・淡路大震災の際には、当時まだ珍しかったコミュニティFMの情報発信能力が注目され、全国で数多くのコミュニティFM局が誕生するきっかけに。それらコミュニティFM局の多くが自治体と放送協定を締結し、防災メディアとしての役割を担っています。
2011年に発生した東日本大震災の被災者の方々を対象とした調査では、必要な情報を「ラジオで得た」と答えた人が圧倒的多数を占めるという結果に。災害時のラジオの重要性があらためて明らかになりました。
昨今では「インタラクティブ(双方向)」であることも、ラジオの強みとなっています。
日頃から、リスナーから寄せられた情報を活用して番組づくりをしているラジオは、リアルタイムで情報を活用するノウハウを持っています。災害時にも、多くのリスナーから集まる情報を活用した、複合的な情報発信ができるのです。
防災グッズの定番「手まわしラジオ」。これから買うなら「ワイドFM」を受信できるものをおすすめします。
ワイドFMとは、電波を受信しにくい地域や、送信所が被災した場合などに備え、FM波を使って同時放送されるAMラジオ放送。より広域で、よりクリアな音声で、ラジオを受信することができます。
充電の手段も、さらに進化。太陽光で充電できるもの、USBで充電できるもの、さらにスマートフォンを「充電できる」ものなど、便利な機能を付加したラジオが発売されています。
パソコンやスマートフォンでラジオが聞ける「radiko」。2016年には、過去1週間の放送を遡って聴ける「タイムフリー」機能などが追加され、話題になっていますね。
災害時には、大規模災害用無料Wi-Fiサービス「00000JAPAN」が利用できるようになるのも、覚えておきましょう。とはいえ、災害時にパソコンやスマートフォンを長時間使うのは、充電などの問題もあり心配。できれば、ラジオを手に入れておきたいところです。
「震災を経験して、ラジオを聴くようになった」
東日本大震災の後、こんな意見があちこちで聞かれたといいます。
たとえば、余震のおそれがある中で復旧作業を行う際には、ラジオをつけっぱなしにしておき、津波警報が出たらすぐ避難できるようにする……こうしたラジオの活用法が、多くの方々の間で広がっていったのです。
情報がないと不安になり、出所不明の噂やデマが横行しやすくなります。災害の発生直後から情報を発信してくれるラジオには、こうした事態を防ぐ力があります。
分単位で内容が決められがちなテレビと違い、ラジオは語り手が自分の言葉でリスナーに呼びかけることができるメディアです。多くの人が不安を抱いている災害時にこそ、ラジオのこうした特性が輝くのかもしれません。
日頃からラジオを聴いて「お気に入りのラジオ局」「信頼できる語り手」を見つけておくのもおすすめです!
参考:丹羽美之・藤田真文編「メディアが震えた-テレビ・ラジオと東日本大震災-」(東京大学出版会)
米村秀司「岐路に立つラジオ コミュニティFMの行方」(ラグーナ出版)