- 週間ランキング
ベリルの仲間は、含まれる元素によってさまざまな色を呈することで知られます。
たとえば、ベリルにクロムやバナジウムが含まれたものが、有名な「エメラルド」。
マンガンを含んで淡いピンク色をしたものは「モルガナイト」と呼ばれます。
アクアマリンの魅力といえば、なんといってもクリアな輝き。
含まれる異物が少ないことが、透明感のあるアクアマリンならではの輝きの秘密です。
逆に、エメラルドは異物が比較的多く、それが複雑なグリーンの濃淡を生んでいます。
古代エジプトの時代から、お守りとして珍重されたベリル。
ギリシャでは、船乗りが「透明できらきらと輝き、海のような青緑色」の石を護符として身につけたといわれますが、これはおそらくアクアマリンだろうと推定されています。
キリスト教の神学者は、海のような色のベリルを「温和さ」と「感情の抑制」を象徴する石として称えました。
また、ベリルを持つ人は「他人に好かれる」「知性を高める」力を持つとも言われ、そのため多くの人がお守りとして身につけたといわれます。
「怠惰さを正す」力があるとも言われるそうなので、シャキッとしたい日はアクアマリンのアクセサリーを身につけるといいかもしれませんね!
現在、一般的に知られる「誕生石」とは、1921年にアメリカ宝石商組合が提唱したもの。
しかし、実はこのほかにも、国や民族によってさまざまな誕生石が存在しています。
そして、フランスやイタリア、ロシア、アラビアなど多くの地域で、アクアマリン(ベリル)は「10月」の誕生石とされているのです。
ちなみに、アメリカ宝石商組合が提唱した3月の誕生石のうち、筆頭とされたのは「ブラッドストーン」という石なのですが、日本での知名度は今ひとつ。
「誕生日にこだわらず、自分が魅力的に感じる石を大切にする」……これが、最も納得できるやり方のような気もします。
この世に二つとない宝石との「一期一会」の出会いを、これからも楽しんでいきましょう!
参考:ジョージ・フレデリック・クンツ(鏡リュウジ監訳)「図説 宝石と鉱物の文化誌 伝説・迷信・象徴」(原書房)
塚田眞弘(松原聰監修)「天然石と宝石の図鑑」(日本実業出版社)