3月の誕生石として有名な「アクアマリン」。ベリル(緑柱石)という鉱物のうち、微量の鉄が含まれることで淡い水色を呈するものがこう呼ばれます。

アクアマリンという名前は、ラテン語で水を意味する「aqua」と、海を意味する「marinus」に由来しているのだとか。

1年間にわたりお送りしてきた「誕生石」シリーズ、最終回となる今回はアクアマリンにまつわる物語をお届けします。

清楚な水色の輝きが魅力の「アクアマリン」


含まれる元素によって変わる! ベリルの色いろいろ

ベリルの仲間は、含まれる元素によってさまざまな色を呈することで知られます。

たとえば、ベリルにクロムやバナジウムが含まれたものが、有名な「エメラルド」。

マンガンを含んで淡いピンク色をしたものは「モルガナイト」と呼ばれます。

アクアマリンの魅力といえば、なんといってもクリアな輝き。

含まれる異物が少ないことが、透明感のあるアクアマリンならではの輝きの秘密です。

逆に、エメラルドは異物が比較的多く、それが複雑なグリーンの濃淡を生んでいます。

アクアマリンの原石たち。柱状の結晶がみられます


船乗りのお守り? 知性を高め、怠惰さを正す力を持つ?

古代エジプトの時代から、お守りとして珍重されたベリル。

ギリシャでは、船乗りが「透明できらきらと輝き、海のような青緑色」の石を護符として身につけたといわれますが、これはおそらくアクアマリンだろうと推定されています。

キリスト教の神学者は、海のような色のベリルを「温和さ」と「感情の抑制」を象徴する石として称えました。

また、ベリルを持つ人は「他人に好かれる」「知性を高める」力を持つとも言われ、そのため多くの人がお守りとして身につけたといわれます。

「怠惰さを正す」力があるとも言われるそうなので、シャキッとしたい日はアクアマリンのアクセサリーを身につけるといいかもしれませんね!

古来、お守りとして多くの人が身につけてきたアクアマリン


伝統的には、「10月の誕生石」だった?

現在、一般的に知られる「誕生石」とは、1921年にアメリカ宝石商組合が提唱したもの。

しかし、実はこのほかにも、国や民族によってさまざまな誕生石が存在しています。

そして、フランスやイタリア、ロシア、アラビアなど多くの地域で、アクアマリン(ベリル)は「10月」の誕生石とされているのです。

ちなみに、アメリカ宝石商組合が提唱した3月の誕生石のうち、筆頭とされたのは「ブラッドストーン」という石なのですが、日本での知名度は今ひとつ。

「誕生日にこだわらず、自分が魅力的に感じる石を大切にする」……これが、最も納得できるやり方のような気もします。

この世に二つとない宝石との「一期一会」の出会いを、これからも楽しんでいきましょう!

参考:ジョージ・フレデリック・クンツ(鏡リュウジ監訳)「図説 宝石と鉱物の文化誌 伝説・迷信・象徴」(原書房)

塚田眞弘(松原聰監修)「天然石と宝石の図鑑」(日本実業出版社)

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 透き通った水色の輝き! 3月の誕生石・アクアマリンの物語