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歳時記は季節の移り変わりを表します。二至二分(夏至・冬至、春分・秋分)を代表に二十四節気、七十二候…と分けられています。この他、日本では雑節を設けて自然とのバランスをとりながら共存して来ました。その中の一つに土用(どよう)があります。八百万の神を信じて来た私たちの祖先は、五穀豊穣はもちろんのこと、人が自然に逆らわずに健やかに過ごすためにも知恵をしぼったのでしょう。冬から春へ…土には、今まで眠っていた中で蓄えた強い力が宿り、春の芽吹きへと繋がります。また、人の健康と生活においては無理をしないことで体調を管理する、お守りのような時期でもあります。
土用の時期は四季のいずれも土の氣が強いため、土に触れると体調を崩すと考えられていました。季節の変わり目は何かと体調を崩しやすいことを思うと、この時期に畑仕事をしないと決めた昔の人々はとても賢いと思いませんか?とはいえ、17日間ずっと土に触れないでいるのは大変です。当時は土葬でしたので、埋葬も避けていましたし、地鎮祭などもできませんね。そこで、土に触れても良い「間日(まび)」があります。今年の冬土用の間日は、寅・卯・巳の日にあたり、1月18日・27日・28日・30日です。土に触れることを考えている方がいましたら、ぜひこの日を選んでみてはいかがでしょうか?
そして、夏にうなぎを食べるように、この時期も「う」のつく食事で乗り切りたいですね…と言いたいところですが、五行思想で土用に関係する内臓は消化器です。夏に瓜やうなぎを食べるのは消化吸収を促しやすいためと体力をつけるためです。では、冬におすすめの食材やメニューはというと、現代では特に年末年始に暴飲暴食をした方、運動不足の方など、胃が弱っている季節です。この時期はできるだけ消化器に負担をかけないことが良いようです。鍋物に旬の野菜をたっぷり入れて、豆腐などの大豆製品も取り入れて体を内と外から労わりたいですね。
冬から春へ…と言えば、花についても見逃したくない景色があります。地域にもよりますが、雪の中に咲く花はこの時期ならではと言えるでしょう。また蝋梅や福寿草など、色も土用を表わす黄色の花を多く見かけるように思います。今日から節分まで冬の名残と春の気配を感じながらゆったりと過ごしていきたいですね。
参考
『俳句歳時記 冬』 角川学芸出版編