~津波に備えて何ができるのか、津波が来たらどうしたらいいのか~

22日に福島県沖を震源とし、最大で震度5弱を観測した地震から1週間が経過しました。今回の地震は平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の余震とされ、津波も観測されました。

トクする!防災プロジェクトでは、甚大な被害を招きかねない津波に関して事前にできる確認と、実際に地震が来たとき、津波が来たときの避難について提案します。

津波から避難するときの注意点 「遠く」より「高く」


今回の津波

11月22日5時59分頃、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震があり、福島県、茨城県、栃木県の一部地域で最大震度5弱を観測しました。この地震により仙台港で1.4mの津波を観測するなど各地で津波が観測されました。(気象庁情報)

津波とは

通常の波と違って、津波では潮位が高い状態が長く(10分以上)続くので、巨大な海水の塊が次々にと押し寄せてきます。したがって、たとえ津波の浸水深さが50cmであっても、流れる津波から脱出するのは困難です。また、津波は海岸に押し寄せた波が反射し、再び別の海岸へ戻ってくる、という性質があります。あちこちから反射してきた津波が合わさることによって、震源からは遠いところでも高い津波になることがあります。

高波と津波の違い

なぜ、仙台で津波が高くなった?

右の図は、11月22日の福島県沖の地震での津波を再現シミュレーションした結果です。震源の福島県沖から発生した津波は福島県の沿岸に到達し、沖合へ向けて反射した後、次は仙台湾へ向かっていることがわかります。仙台港では、津波の第一波の到達(07時09分)の約1時間後(08時03分)に最大波となる1.4mの津波が到達しています。津波は思わぬところで波が高くなることもあるので、注意が必要です。同じ湾の中でも津波の高さは「倍半分は異なる」と言われています。すなわち、ある地域に3mの津波の高さが予想されていると、その湾内では1.5m~6.0mの津波の高さになり得る、ということになります。

11月22日の福島県沖の地震での津波を再現シミュレーションをした結果


津波から避難する

津波からの避難で気をつけたいポイントは以下の4つです。

1.津波から逃げる方法は事前に確認

津波については、ハザードマップを作っている自治体もあります。一度、お住まいの自治体のハザードマップを確認してみましょう。ハザードマップで、避難場所となる高台や避難ビルを確認しましょう。津波の規模によっては、想定していた避難場所では津波を避けられない可能性もあります。複数の避難場所を確認し、状況を見て、自分で判断できるようにしましょう。

2.地震の後にも、地震がなくても

地震が起こった際、標高の低い場所にいるときは、多少海岸から離れていても「地震が起きたらすぐ津波がくる可能性がある」と意識しましょう。津波は地震の後、すぐに起こり沿岸部まで波がくることもあります。大きな揺れを感じたら、情報が入ってきていなくても、高い場所へ避難するようにしましょう。

また、離れた場所で地震が発生し、揺れを感じることがなくても、津波がくることはあります。東北地方太平洋沖地震では、揺れを観測していない鹿児島県種子島でも1.5mの津波が観測されています。地震の揺れを感じることがなくても、大きな地震が発生した際には、沿岸部や川沿いでは津波に注意してください。

3.津波から避難する

津波から避難するときは、「遠く」よりも「高く」逃げることが大切です。想定されている津波浸水の高さ以上の高台や避難ビル等の頑丈で高い建物に避難してください。実際に避難するときは、状況をよく見て、決められた避難場所にこだわることなく、より高く、頑丈で、安全な場所を目指しましょう。

また、津波は1回だけではありません。津波の高さが第2波、第3波と高くなることもあります。一度避難したら、津波警報・注意報が解除されるまでは、戻らないようにしてください。

4.真っ先に避難する

地震の直後に津波がくることがあることは知られていますが、なかなか行動に移すことは難しいです。今回福島県沖で発生した地震・津波では、早朝でしたが、高い場所へ避難した方が多くいらっしゃいました。

津波の危険があるとき、真っ先に避難することはとても大切です。「避難している人がいる」ということが他の人に対しても、避難の必要性を伝えます。呼びかけや残存者の確認も大切ですが、私たちが誰でも真っ先にできることは、まず「避難する」ということです。避難して津波がこなければ「こなくて良かった」、避難して津波がきたときには「逃げて良かった」と、一番大切な命を守ることにつながります。真っ先に避難している人を見れば、自分も逃げなければ!と思う人が増え、多くの人が避難をするはずです。自分の命を守ることが、他の人の命を守ることにもつながります。

津波の避難に関する詳しいことはこちら(トクする!防災 避難の心得)をご覧ください。


今回の福島県沖を震源とする地震について

気象庁の発表では今回の地震は「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の余震と考えられるとのことです。22日5時59分の震度5弱の地震以降、福島県沖または福島県浜通りを震源として、震度3以上が10回起きています。(気象庁情報:28日18時現在)

今後も大きな地震が起こる可能性があります。自宅の家具の固定や食料品、生活用品の備蓄など、地震に備えましょう。地震の避難に関する詳しいことはこちら(トクする!防災 避難の心得)をご覧ください。

これからの季節、全国的に寒さが厳しくなっていきます。備蓄品の準備をするときには、防寒具を忘れずに入れるようにしましょう。

カイロやポータブルストーブも大切ですが、ダンボールや新聞紙、アルミホイルでも暖を取ることが可能です。必要な備蓄品はこちら(トクする!防災 備蓄の心得)をご覧ください。

また、衣類も軽くて暖かい素材のものが多くありますので、避難の際の持ち物に入れるようにしましょう。

地震も津波も、いつ、どこで起こるかわかりません。だからこそ、日頃から備えておくことが必要です。この機会に、家族みんなで地震や津波の対策を見直してみましょう。

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 福島県沖の津波から学ぶ、私たちができること