気象庁はきょう10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。今後、冬にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高いと予測しています。

●7 月の実況

7月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は、6月から大きく上昇して+1.8℃となり、基準値より高い値となりました。エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の5月の値は+1.0℃となりました。太平洋赤道域の海面水温は東部を中心にほぼ全域で平年より高くなりました。海洋表層の水温は太平洋赤道域のほぼ全域で平年より高くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年並みでした。このような太平洋赤道域の状態は、海洋はエルニーニョ現象の状態となっており、大気にもエルニーニョ現象時の特徴が現れつつあることを示しています。以上から、春からエルニーニョ現象が続いています。

●今後の見通し

実況では、太平洋赤道域の中部から東部にみられる海洋表層の暖水が、東部の海面水温が高い状態を維持しています。大気海洋結合モデルは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて海洋表層の暖水をさらに強め、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差が大きくなり、予測期間中、基準値より高い値で推移する可能性が高いと予測しています。以上のことから、今後、冬にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高くなっています。

●エルニーニョ現象とは?

「エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。

「エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、冬は暖冬になりやすいと言われています。

情報提供元: tenki.jp日直予報士