【解説】なぜ田嶋氏はFIFA会長選に立候補したか “宮本会長がやらないから俺が”決断舞台裏
日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三名誉会長(68)が、来年3月に行われる国際サッカー連盟(FIFA)の会長選挙への出馬を電撃表明した。5日、都内で行われたJFA理事会後に明かした。現在、FIFA理事を務めており、FIFAの公平、公正性を取り戻すためインファンティノ現会長の再選を阻止すべく、日本人初の立候補者として、名乗りを上げた。
◇ ◇ ◇
田嶋氏がFIFA会長選への立候補を表明した。本人は、理由の全てを口にはできない。関係者が代弁する。“宮本会長がやらないから俺がやる! 日本のために”ということだ。
田嶋氏は、周辺に義憤を隠していなかった。宮本会長が先月23日のAFC会議後、FIFAの現体制支持に協調する立ち位置を示すと「信じられない」「我慢できない」「ジャンニ(インファンティノ会長)を推してしまう日本、でいいのか?」と激高したという。
翌24日付で、盟友の岡田武史氏が副会長を辞任。岡田氏は宮本会長に会いに行き、問うた。次のFIFA理事を目指す同会長の返答は「支持します」。その瞬間、懐に忍ばせた辞表を出した。直後に、田嶋氏の電話が鳴る。腹は決まった。
振り返れば日本時間7月7日。トランプ米大統領の介入で同国FWの出場停止が猶予された際、渡米していた田嶋氏に取材を申し込んだ。「私の立場では難しい」と1度は断られたが、静観は一瞬だった。すぐ「どう考えてもおかしい。VARを導入した意味がなくなる。やはり私の名前で書いて」と日刊スポーツに寄稿した。世界最速で反発したFIFA理事となった。
同31日には反対声明を出したが、ここで宮本会長と決裂した。同時にコメントを出すよう訴えたものの、逃げられた。前会長として立場は理解するが、それでも再三、岡田氏とともに働きかけた。「今こそ日本の高潔性を示す時だ」。しかし、かわされ、見限った。
211の国と地域にカネをばらまくインファンティノ会長に対する勝算は、正直、ない。ただ、これ以上ない注目度の選挙演説を通じて「日本が守ってきた、誠実で健全で高潔であることを世界に発信」(田嶋氏)できる。投票結果は、どうでもいい。出馬だけで日本は“勝者”になる。【スポーツ部デスク=木下淳】