【西武】滝沢夏央が突破口開きカード勝ち越し 俊敏な動き磨いてくれた「負けず嫌い」の父にも感謝
<西武1-0中日>◇15日◇ベルーナドーム
西武が中日の技巧派左腕、松葉に苦しんだ。5回までわずか2安打。苦境で、滝沢夏央内野手(21)が突破口を開いた。
6回1死の第3打席、カウント1-2と追い込まれながら、外へ鋭く逃げていくカットボールへ懸命にバットを伸ばした。三塁手の頭を越え、打球はフィールドに落ちた。
この勢いあるカットボールに、右打者も左打者も差し込まれた。5回まで11個、内野ゴロの山。滝沢も「いろんなボールを動かされて、芯を外される」と苦戦した。特にカットボールは「何球か見て、やっぱり一番イヤだなと」。
ここは打たなきゃダメ、ここはボール球-。自身のラインを定めて第3打席に臨み、しっかりヒット。でも「とにかく食らいついた感じがたまたまヒットで」という当たり。技術じゃなく気持ちで打った。
源田の疲労蓄積に伴い、久しぶりに遊撃を守った。鋭くゴロをさばいていく。「自分のプレーをするだけです。いつも通り、足を動かしていこうと。それだけです」。
164センチ、球界最小兵。この日は子どもたちのアイドル、人気アニメ「クレヨンしんちゃん」ご一行が訪れたが、滝沢は新潟テレビ21で放送されていた「クレヨン~」を食い入るまでには見た記憶がない。
「父がずっと練習に付き合ってくれて。夜遅くまで小学校のグラウンドでずっとノック受けてて。お互い、負けず嫌いなので」
そうやって少年時代からとことん磨いてきた技術で、セカンドもショートも鋭くこなす。
高い投手力を背景に僅差の競り合いが続く中、滝沢の存在感は大きくなるばかりだ。「(僅差は)めっちゃめちゃ緊張して疲れますけど、ピッチャー、頑張ってるので。もっと貢献したいです」。
カットボールに食らいついた滝沢は出塁すると、エンドランでスタート。長谷川の打球は左翼線への二塁打に。滝沢は拍手と「回れ~!」の大声が響く中、ホームまで10秒30で駆け抜けた。【金子真仁】