【千葉】佐倉ナインはミスター“野球道”継承「ムード悪い時も明るく」弔い勝利へ7・12千葉工戦
<高校野球千葉大会・組み合わせ抽選会>◇12日◇千葉県スポーツ科学センター
第107回全国高校野球選手権千葉大会(7月5日開幕)の組み合わせ抽選会が12日、千葉市内で行われた。3日に89歳で亡くなった巨人終身名誉監督の長嶋茂雄さんの母校・佐倉は、7月12日に初戦の2回戦で千葉工と対戦する。同校OBの奥村武広監督(62)は、尊敬する先輩の魂を、長嶋さんの現役時代を知らない選手たちに伝えてきた。ミスターの“野球道”を継承したナインが、弔いの勝利を届ける。
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訃報のあった3日は、佐倉は試験期間中だった。明けた6日の初練習で偉大なOBに黙とうをささげた野球部の奥村監督は、ミーティングで平成生まれの選手らに、戦後のプロ野球人気を支えたミスターの勇姿を伝えた。「正直この子らの世代は長嶋さんの現役時代を、もちろん知らない。それでも、長嶋さんが佐倉高校のOBということで、いろんなところで守られたり、注目されたりしている。長嶋さんの後輩らしく、明るく楽しくやるのが野球。勝負に厳しいというのはもちろんだけど、ムードが悪いときも明るくできなきゃいけない」。常にスターを演じ続けた先輩の“野球道”を熱く語った。
奥村監督は、現役時代に長嶋さんの高校時代の同期・奈良誠さんから指導を受けた。「よく引き合いに出された。『(長嶋さんは)そんないいかげんな練習はしない』とかね」。直接会ったのは高校3年時の1度だけ。1980年、長嶋さんが巨人監督を退いた年の秋、母校を訪問した。「オーラが違いますよ」。球界のスターの登場に胸が高鳴った。
長嶋さんがプレーしたグラウンドは、今も変わらない。練習の合間に三塁ベースに集合することがある。これは昔から続く佐倉の伝統だ。「プレーに気持ちが入っていないときに活を入れる」。奥村監督も長嶋さんを意識して指導を行ってきた。ミスターはどんな時代も、佐倉ナインの道しるべだ。
7、8日の練習試合では喪章をつけて臨んだ。試合中、相手に流れを渡す苦しい展開に「袖についている物は何だ」と、明るくプレーをする意識を説き続けた。「いいムードで戦ってくれれば」。日本中が愛した大スターの魂を受け継ぎ、弔いの勝利を目指す。【北村健龍】