【巨人】“あこがれるのをやめた”西舘勇陽、先発本格転向初戦で結果…偉大な先輩たちの背中追う
<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク3-7巨人>◇11日◇みずほペイペイドーム
巨人の先発ローテに新星が現れた。プロ2年目の西舘勇陽投手(23)が今季初先発で今季初勝利をマークした。「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦(みずほペイペイドーム)で強力打線相手に粘り、7回6安打3失点にまとめた。1年目は中継ぎがメイン。先発への本格転向初戦で白星を手にした。エンゼルス菊池雄星、ドジャース大谷翔平らを出した花巻東(岩手)から中大に進み、23年ドラフト1位で入団。偉大な先輩たちの背中を追う。
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西舘が未知の領域に入った。7回のマウンドで球数は100を超えた。ソフトバンク柳町、近藤の主軸に2連打され、内野ゴロで1失点。さらに栗原に二塁打を許した。1死二、三塁で代打山川の三ゴロでもう1点、失ったが2死までこぎつけた。最後は秋広を空振り三振。「最後はピンチですし、球数的にも最後だなっていうのは分かっていた。何とか1点でも少なく終わらせたいと思っていた」とプロ入り後最多111球、同最長の7回を投げきった。
プロ2年目。初々しさを残しながらも日に日にたくましさが増す。ルーキーイヤーの昨季は中継ぎを主戦場に28試合に登板。安定感を欠く場面も多々あり、1、2軍を行き来した。どこか遠慮がちで奥手な性格と自覚する。だから「自分もプロの世界に入って対等というわけじゃないですけど、立場としてはプロ野球選手としては一緒なので、上に見ないで普通に攻めていければなと思います」とマウンドではあこがれるのをやめて、相手打者と向き合った。
今季は1軍で救援で5登板し、5月の2軍再調整後は先発に本格転向した。2軍戦8試合に先発して3勝0敗、防御率1・06と安定感が増した。「1軍で結果が出ないというのが続いているので、相手どうこうというより、自分の気持ち次第だと思う。自分が向かっていける姿勢でいければなと」と強気に攻める投球スタイルを目指した。
先発でつかんだ“初勝利”には、まだまだ伸びしろがある。阿部監督は「僅差で勝てるピッチャーになってほしい。ストライク先行も全然できてなかったし、細かいところはまだまだだなと思って見てました」と中大の後輩に成長を求めた。西舘本人も「本当に野手の人たちに勝たせてもらった勝ちなので。まずは次に向けて修正できるところは修正できるように」と満足はない。
岩手県出身で地元の花巻東で先輩の菊地、大谷と同じように甲子園を目指した。“あこがれるのをやめた”プロ2年目右腕が巨人の先発ローテに食い込んできた。【為田聡史】