西武対阪神 2回表阪神2死一、三塁、熊谷(手前)が放った先制適時打の打球の行方を見つめる藤川監督(後方左から2人目)ら(撮影・江口和貴)

<日本生命セ・パ交流戦:西武4-2阪神>◇10日◇ベルーナドーム

名バイプレーヤーの肩書は返上だ。阪神熊谷敬宥内野手(29)がまた「打」で見せた。「9番三塁」で今季3度目のスタメン。2回2死一、三塁から好左腕・隅田の直球を右前にはじき返す先制打。「1球に集中した結果。みんなで作ったチャンスだし、どんな形でもいいので走者をかえしたかった。気合で打ちました」。端正なマスクだが、“気合”の2文字にハートの熱さをかいま見せた。

近年は守備・走塁で活躍する“控え”に定着していたが、今年はひと味違う。これが3度目のスタメン。7日のオリックス戦(甲子園)は5年ぶりに「遊撃」で先発出場し、2安打2得点。打点は3年ぶり、マルチ安打は7年ぶりだった。ホームでは全体練習が始まる何時間も前に球場入りし、入念なルーティンをこなす。「もう常に準備して、出たらどこでも守れるようにアピールして。しっかりやっていきたい」。1球に勝負をかけてきただけに痛恨のミスを許せない。4回無死一塁で2度のバント失敗から三振でチャンスをつぶし「バント失敗したので意味がない。流れが悪くなった。あれがすべて」と猛省した。

今の阪神では唯一の立大出身。3日に亡くなった長嶋茂雄さんの後輩だ。熊谷は主将だった4年時の17年、全日本大学選手権で59年ぶりの日本一になった。決勝戦は長嶋さんも観戦した。「神宮に足を運んでくださった。それが一番いい思い出」。悲しい知らせと時を同じくして、キャリアの新たな局面を迎えている。【柏原誠】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】熊谷敬宥また「打」で見せた 今季3度目スタメンで先制打「気合」近年“控え”で活躍も