キャンプ視察に訪れた鳥谷敬氏。左は巨人阿部監督(撮影・たえ見朱実)

日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(43)が2日、オフに大補強を成功させた巨人のキャンプに潜入。阿部監督らの声をもとに、昨季リーグ王者の戦力を分析した。【聞き手=佐井陽介】

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午前中、ポジションや打順に関して阿部監督に尋ねました。「まだ全然分からないんだよね」という言葉を聞く限り、焦って決めるつもりはなさそうです。新外国人キャベッジ選手の実力次第という部分もあるのでしょう。とはいえ、駒不足でやりくりに悩むわけではなく、選手層が厚すぎるが故のぜいたくな悩み。練習中のチーム全体からも昨季リーグ優勝した自信と落ち着きを感じました。

やはり岡本和選手の存在が大きいのでしょうね。不動の4番が一塁、三塁、左翼と3ポジションを守れると当然、バリエーションは広がります。「一塁キャベッジ」がハマれば岡本和選手を三塁に置けるし、坂本選手の状態が良ければ「三塁坂本」「左翼岡本和」にもできる。キャベッジが苦しければ「一塁岡本和」「三塁坂本」も有り。誰かの調子が悪くなっても何重もの“保険”があるわけです。ロースコアが激増している昨今、調子の良しあしに合わせて臨機応変に打線を組める点はプラス材料でしかありません。

オフは絶対的守護神としてマルティネス投手、固定できずにいた正捕手格に甲斐選手、レジェンド右腕の田中将投手を補強。20歳の浅野選手ら伸び盛りの選手もいて、ベテラン、中堅、若手と年齢構成のバランスも上々です。若干の不透明要素も門脇選手と泉口選手の遊撃争いぐらい。昨季に増して大崩れする可能性を減らした印象です。

個人的には36歳坂本選手の意地にも期待しています。昨季はプロ18年目で自己ワースト打率に終わり、今季はレギュラーが保証されていない立場。ですが私自身、35歳で開幕したシーズンで落とした成績を翌年にV字回復させた経験があります。この日も充実感漂う表情で練習をしていましたし、ノック中も巧みなハンドリングは健在。希代の底力を再び証明してくるのではないかと予想します。(日刊スポーツ評論家)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【鳥谷敬】巨人打線は何重もの“保険”でぜいたくな悩み 坂本勇人は再び底力を証明してくるはず