日本ハム新庄監督、自ら語る急転続投決意の裏「もう腹が立って。まだまだ凡人」大きなゴールを設定
急転の続投だった-。来季4年目の指揮を執る日本ハム新庄剛志監督(52)のドキュメンタリー「球界のアンチテーゼ~新庄剛志と北海道日本ハムファイターズ『3年目の約束』~」が、10日午後8時半からCSフジテレビONE、FODで放送・配信される。
球団からは早々に続投要請を受けたが、沈黙を守ったままクライマックス・シリーズ(CS)に突入。ソフトバンクに惨敗する過程で、心境に変化が起こっていた。
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3年かけて日本ハム新庄監督が作り上げてきたチームは、短期決戦の剣が峰で通用しなかった。エースの伊藤をCSファーストステージのロッテ戦で温存し、ソフトバンクの初戦にあてた。リスクを冒して用意した懐刀も歯が立たず、2戦目以降も殴られ続けた。それほど鷹は強かった。
湧き上がる勝負師の本能を能面で隠し、試合中に翻意を決めた。退任ではなく続投。「もう腹が立って。この仕返しは、来年したろ…まだ凡人だな。まだまだ凡人だな、思い描いた通りにいかない。だから人生は楽しい」。シーズンから密着してきたクルーの前で素直に打ち明けた。
再建を託され、期間を設定し、青写真通りに歩んできた。最後の最後、シナリオは崩れた。
「成長ってするもんですね。どっから手をつけようか、っていうチームだったんで。クライマックスに出て、日本シリーズに行って、優勝してユニホームを脱ぐっていう。よしよし、と思ってたらファイナルで…」
秋季キャンプに参加せず、軽井沢に向かった。静養のつもりがテレビで選手をチェックする毎日。愛犬を傍らに来季の知略を巡らせた。
3年前の11月4日。就任会見での所信表明を思い出していた。「僕しかいない。ファイターズを変えていきたいし、僕がプロ野球を変えていきたい」。志半ばだと気が付いた。
「また4年目のシーズンを、かわいい選手たちと一緒に野球ができる。目標は優勝。目的は、12球団1、誰もが気になるチーム、見たいよねっていうチーム。後は、プロ野球を目指す子どもたちが第一声『ファイターズに入団したいです』っていうチームを作る」
頂を逃して続投を決めたのに、優勝の先に大きなゴールを設定する。野球好きを引きつけてやまない、新庄監督の魅力そのものを示した。【宮下敬至】