花束を受け取って笑顔の和田氏(撮影・只松憲)

今季限りで現役を引退した元ソフトバンクの和田毅氏(43)が8日、来年1月でラストになる「和田塾」での鬼軍曹を予告した。“指導者デビュー”の場と位置づける長崎自主トレには、チームから前田純投手(24)や大野稼頭央投手(20)ら若鷹4人が参加。ランニングメニューの増量など猛練習で成長を促すなど、後継者育成に励む。この日は地元の島根・出雲市で「第20回和田毅杯 少年少女野球大会」を開催し。子どもたちと触れ合った。

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最低気温5度に日本海から吹き込む冬風。正午すぎには霰(あられ)の入り交じった大雨も降り注いだ。地元をよく知る和田氏は「この時期に出雲がこんなに寒いのは記憶にない。寒すぎるよ」と苦笑い。ダイエー、カブス、ソフトバンクで日米通算165勝を挙げた体を丸めたが、野球の話になると手に持っていたカイロのように熱くなった。

11月5日に今季限りでの現役引退を電撃発表。毎年1月に行う長崎での「和田塾」は来年がラストになる。「一緒に練習するかって? やらないよ。何も練習してないもん」。勇退する塾長は「投げる姿を見たり指導役かな」とコーチとして携わる。レジェンド左腕の“指導者デビュー”の舞台に様変わりするが、その上で猛練習を予告した。

「トレーニングは今までより厳しくなる。ランニングの量も増えるよ。今までは自分がやりたいことをやって、彼らが自分に合わせてやってたんですけど、それを撤廃できる。今の若い子たちに合わせられるので、走る量は必然と増える」。恒例の坂道ダッシュも「例年は8本だけど、それも増やす」とにんまりだ。

超ハードメニューで知られる和田氏の合同自主トレ。43歳まで現役を続けた事実が、その過酷さを物語る。「口うるさい指導役がひとり増えるぐらいの感じ」。後輩思いな左腕だからこそ鬼軍曹と化す。他球団ではロッテ小島、阪神大竹など総勢10人で、ソフトバンクからは今季プロ初勝利を挙げた前田純、左腕エース候補の大野、中継ぎ左腕の田浦、育成右腕の佐々木が参加予定。特に前田純には「今年の自主トレで一番伸びた子。準備と覚悟を持ってやってほしい」と期待を寄せた。年明けから後継者育成に向けて動きだす。

この日は地元の出雲市で05年から行ってきた「第20回和田毅杯 少年少女野球大会」を開催した。「子どもたちの姿を見ると『来年も頑張ろう』と思える。再出発の場所」。引退後に初めて吸う地元の空気。ホークスのジャンパーを着たレジェンドが、決意を新たにした。【只松憲】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ソフトバンク】鬼軍曹が若鷹指導へ 元ソフトバンク和田毅氏が長崎自主トレの猛練習を予告