ドジャース大谷翔平(24年6月撮影)

ドジャース大谷翔平投手(30)について、投手としての復帰時期を、他の投手の例などから考えます。今月初めにドジャースのデーブ・ロバーツ監督が来日。来年3月の日本開幕2連戦で大谷の二刀流復帰について「そうなるとは思わない。打者での出場を期待している」と話し、開幕は打者でスタートする見通しとなりました。

一般的にトミー・ジョン手術の成功率は90%以上といわれます。しかし、昔は2度目の手術になると約50%。現在では60~70%といわれています。また、1度目より2度目の手術の方が長いリハビリ期間を要し、球団側も投手の復帰時期を慎重に探っていくようです。

過去に2度目の手術を受けた選手の成功例を挙げると、まずはネーサン・イオバルディ投手(レンジャーズFA)です。16年ヤンキース時代に2度目の手術を受け、18年レイズで復帰。同年7月レッドソックスに移籍し、チームの世界一に貢献しました。そのオフにレッドソックスと4年総額6800万ドル(約102億円)で再契約。20、21年と2年連続開幕投手を務め、21、23年にはオールスター選出。2度目の手術以降、通算53勝35敗と完全復活しました。

次にカブスのジェームソン・タイヨン投手です。19年パイレーツ時代に2度目の手術を受けましたが、21年ヤンキースで29試合に先発して8勝6敗とカムバック。翌22年には14勝5敗と完全復活し、オフにカブスと4年総額6800万ドル(約102億円)で契約しました。

逆に失敗例を挙げるとジョシュ・ジョンソンです。09、10年とマーリンズで2年連続オールスターに選出されましたが、14年パドレス時代に2度目の手術。さらに翌年3度目の手術を受けることになり、17年に現役引退を余儀なくされました。

最近では18、19年とメッツで2年連続サイ・ヤング賞に輝いたレンジャーズの剛腕ジェーコブ・デグロムが23年6月に2度目の手術。今年9月に復帰し3試合に先発登板。最速98・7マイル(約159キロ)を計測し、来シーズンの復活が期待されます。

22年にレイズで初の開幕投手を務め、オールスターでも先発、23年にはメジャー10勝一番乗りした左腕シェーン・マクラナハンは、8月に2度目の手術を受けました。来シーズンの復帰が待たれるところです。

他には21年オールスターに選出され、22年には初の開幕投手も務めたドジャースのウォーカー・ビューラーが、同年8月に2度目の手術を受けました。今年5月に復帰し16試合で1勝6敗、防御率5・38と振るいませんでしたが、ワールドシリーズでは最終戦の9回を3者凡退に仕留め、世界一に貢献しました。

特にトミー・ジョン手術後の球数や投球回に制限はありませんが、過去の例で言うとイオバルディは復帰した18年に22試合で111イニング、ポストシーズンで6試合うち2試合に先発して合計22回1/3でした。タイヨンは21年に29試合で144回1/3しか投げていません。イオバルディは2度目の手術後1年5カ月、タイヨンは1年6カ月、ビューラーは1年9カ月後に復帰登板。昨年9月に2度目の手術を受けた大谷は、来年3月で1年6カ月となります。

ドジャースの最終目標はワールドシリーズ2連覇です。それゆえ、ロバーツ監督はレギュラーシーズンだけでなく、ポストシーズンを見据えた上で「仮に3月に投げたとしたら、(シーズンを通して)10月までもたない」と見解を示しています。そのためには復帰時期を遅らせる必要があるということ。日本のファンにとっては残念ですが、日本での打者開幕は賢明な選択といえそうです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 大谷翔平の投手復帰時期は? 日本での打者開幕は賢明な選択