早実対淑徳 投球練習を行う早実のエース中村(撮影・黒須亮)

<高校野球秋季東京大会:早実6-0淑徳>◇3日◇準決勝◇スリーボンドスタジアム八王子

今夏甲子園16強の早実が淑徳を下し、決勝進出を決めた。

旧チームからエースを務める左腕・中村心大投手(2年)が、9回を4安打3四球で2ケタの10三振を奪って完封。打っても1点リードの5回に追加点の適時打を放った。

   ◇   ◇   ◇

中村が尻上がりに状態を上げた。試合前日の雨でぬかるむマウンドに、4回まで3安打2四球。悪条件にも「土を掘って、自分の投げやすいマウンドを作った」と立て直し、5回以降は二塁すら踏ませなかった。和泉実監督(63)は「今日はもう『一世一代のピッチングをして』ってお願いしてた。慣れない、俺が。慣れねえな~こういうピッチャー」と序盤の投球に胸をなで下ろした。

奪三振「10」が成長の証しだった。夏の甲子園後に「左バッターからはカウントを取るため。右バッターはストレート以外に勝負球がなかった」と、新球チェンジアップに着手。変化球はカットボールなど横の変化のみだったが、全国の舞台を経て縦の変化を加えた。対戦校からのマークが厳しくなる中でも、この秋は33回を41奪三振で3失点と圧倒。この日の最速は143キロで、三振は左右の打者から5個ずつ奪った。

新チーム発足後は、和泉監督の指名で人生初の主将に就任。「キャプテンとして何ができているのかは分からないですけど…」とした上で、「3年生から学んだことは最後まで諦めないこと。準備とかあいさつとか、当たり前のことをしっかりやるチームになろうと言っている」と自覚を口にした。

夏に続く甲子園出場当確へあと1勝。2季連続は06年の斎藤佑樹氏(36)以来だが、07年生まれの中村にとって「ハンカチ王子」は「夏のイメージが強いので。そこ(春)はあんまり…」という存在だ。また、秋の東京大会決勝は16年の清宮(日本ハム)以来と、偉大なOBが並ぶ。和泉監督は「昔のことは忘れちゃったよ」とジョーク。中村は「夏の時と(心境は)あまり変わらない。絶対勝ち切るという思いが強いです」と落ち着いた口調で語った。早実の歴史に、「中村心大」を刻む。【黒須亮】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 早実エース中村心大、新球交えて10K完封 06年斎藤佑樹氏以来の2季連続甲子園へ王手/東京