レゲエの先駆者ボブ・マーリーの「Live!」や、ソウルのゴッドファーザー ジェームス・ブラウンの「Live at the Apollo」に代表されるライブの名盤ジャケットで、被写体はその圧倒的な歌声とパフォーマンス、溢れるカリスマ性を感じさせ、今にもジャケットから飛び出してきそうです。ジャケットに施された大胆な色使いや精緻なグラフィックなど、様々な手法を凝らしたアートワークは、ライブでしか味わえない緊張感、迫力、一体感、スリル、喜びといった、演者・観客双方のあらゆる感覚を30センチ四方の中に留めています。見る者を惹きつけて止まないアナログ・レコード・ジャケットならではのクリエイティブなデザインの数々は、暑い夏をさらにアツく彩り、幅広い年齢層の方々にお楽しみいただけます。
展示するライブ盤のジャケットは、学生たちがデザイン上の類似性や共通性などを見出し、27のカテゴリーに分類されています。例えば、‘typography’、‘illustration’、‘framework’ のように、デザインを構成する要素を元にカテゴライズされていたり、ステージで‘performance’しているミュージシャンたちを捉えたジャケットは、ショットサイズでグループ分けされています。中には、目線や表情に着目した‘seriously’、‘look at me!’といったカテゴリーや、ツアーで旅をし続けるミュージシャンたちの心の内に触れるような‘tour’s moment’といったカテゴリーがあります。金沢工業大学では、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4つの理数教育に、Art(芸術・リベラルアーツ)の創造性を加え、統合的に学ぶSTEAM教育を推進しており、本展の制作活動がSTEAM教育の一翼を担い、学生の発表の場として、また地域貢献、音楽文化の啓発になることを目的としています。学生の視点でカテゴライズされた1,000枚にもおよぶジャケットは、ライブ会場をイメージした空間構成でレイアウトされ、圧巻のディスプレイとなっています。本展のチラシやポスターの制作も学生が行いました。また本展では、ミュージック・フェスティバルやチャリティ・コンサートの歴史を辿り、ポピュラー・ミュージックが社会で果たしてきた役割を探っています。