クリーンテクノロジーのイノベーションハブとして台頭するAPAC市場 - MSCIでは、炭素集約型セクターにおける移行計画に示された技術戦略ロードマップと資本配分を分析しました。その結果、これらの計画が実行された場合、APAC市場におけるクリーンテクノロジー需要の拡大につながる可能性があることが明らかになりました。 - エネルギーセクターのハイライト o MSCI AC Asia Pacific IMIの構成銘柄となっているエネルギーセクター企業90社のうち、18%が移行計画を開示しています。 o 同セクターで移行計画を開示している企業の50%が、2024年にCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)に対して資本配分戦略を報告しており、クリーンエネルギー投資へのコミットメントを明示しています。 o 移行計画を開示している石油・ガス企業全社が、水素燃料の供給を計画に組み込み、市場における燃料転換に備えて、事業の多角化を進めようとしています。クリーンな水素の活用は、石油・ガス業界のサプライチェーンにおけるエネルギー移行を支える上で、将来重要な役割を果たす可能性があります。 o インドと中国において、再生可能エネルギーや電気自動車を製造する複数の企業が、2020年から2023年の間に売上高で年平均成長率(CAGR)100%超を報告しています。電気自動車や燃料電池車の市場浸透が進むことで、エネルギーセクターの移行をさらに加速させる可能性があります。 - 公益事業セクターのハイライト o 移行計画を開示しているAPACの公益事業セクターの構成銘柄23社のうち、80%以上が、技術戦略ロードマップに水素またはアンモニアの混焼または専焼を組み込んでいます。これらの計画が実行されれば、公益事業セクターは長期的かつ安定的に、大規模な水素燃料需要の創出を支える重要な役割を担う可能性があります。 o 移行計画を開示している23社のうち70%超の企業が炭素回収技術の導入を検討しており、脱炭素目標との整合性を確保する手段の一つとして、同技術の事業化可能性について引き続き調査しています。 o ペロブスカイト太陽電池などの新興技術は、今後の再生可能エネルギー市場の成長を牽引する可能性があります。本レポートでは、APACにおいて同技術の開発に取り組む企業20社の技術的進展を調査し、関連特許の分析を行っています。 - 素材セクターのハイライト o 移行計画を開示した99社のうち90%超の企業が、再生可能エネルギーの導入と低炭素製品の開発を戦略の柱としています。低炭素の鋼鉄、セメント、水素はいずれもまだ発展途上にありますが、導入が進めば、将来的に素材セクターにおける事業活動や製品ポートフォリオの脱炭素化に寄与する可能性があります。 o MSCIのデータから、移行計画を開示している素材セクターの企業は、低炭素技術特許の質に関するスコアが、移行計画を持たない企業よりも高いことが明らかになりました。これは、低炭素技術の開発において有効性の高い特許を保有していることを示しています。