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株式会社紀伊國屋書店
学術資料のデジタル化及びグローバル化に対応した
新たなNACSIS-CAT/ILLシステム構築を紀伊國屋書店が受託
株式会社紀伊國屋書店(代表取締役会長兼社長: 高井 昌史、東京都新宿区、以下 紀伊國屋書店)は、国立情報学研究所(所長:喜連川 優、東京都千代田区、以下 NII)が進める「目録所在情報サービスおよび電子情報資源管理サービスの提供」事業を受託致しました。
NIIが提供する目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)は、日本における学術文献資料を包括する総合目録データベースとして、大学図書館を中心に1300機関で利用されています。このたびのNACSIS-CAT/ILLの再構築及び機能強化に当たり、紀伊國屋書店は国内外のシステム会社と連携して、学術資料のデジタル化やグローバルシフトに対応する学術基盤を構築します。
背景と目的
1985年に運用が開始されたNACSIS-CAT/ILLは、全国の大学図書館等の目録業務や相互利用業務を支援してきました。 一方で、近年の学術研究のグローバル化とデジタルシフトに伴い、学術情報管理・流通基盤が国際的に大きく変動しています。 この動きに対応すべく、「大学図書館と国立情報学研究所との連携・協力推進会議」の下に「これからの学術情報システム構築検討委員会」が設置され、NACSIS-CAT/ILLシステムの軽量化・合理化、及び紙と電子を包括する統合的発見環境の実現が協議されました。 この協議に基づき、NIIから事業が案内されました。
新たなシステムの構成
上述した目的を実現するため、NIIからの受託内容に基づき紀伊國屋書店は以下のシステムを構築します。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202106156255-O1-W77R50bs】
図: 図書館システム・ネットワークと今回整備を行う範囲
(国立情報学研究所作成)
1.NACSIS-CAT/ILLの基盤システムを刷新
新たに構築するシステムはアメリカを本拠地とするOCLCのCBS(Controlled Bibliographic Service)を基盤とします。CBSは地域および国レベルの共同目録とILLのために設計されたシステムで、イギリスを始め、オランダ、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ諸国、さらにオーストラリアでも導入されました。
日本での今回の実装では各図書館とは従来のCAT-P形式で動作し、現行のNACSIS-CAT/ILLの機能を維持します。一方で、背後のデータは国際目録形式MARC21にも準拠し、最新の図書館運営を反映した機能拡張を行います。将来のRDAやBibframeを始めとする国際メタデータ標準への対応も視野に収めます。
また、図書館間相互貸借(ILL)サービスは株式会社シー・エム・エスが構築し、CBSとのシームレスな連携を行います
2.新たに電子リソース管理サービスを構築
電子コンテンツの増加に伴い、電子資料の管理・利用環境の整備が重要な課題となり、その対応として本事業では電子リソース管理サービスを構築します。このシステムを用いて、国内外の出版社・学会等から大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)に提出された電子リソース製品のタイトルリストや利用条件などのデータのうち、公開許諾が得られたものについて、全国の図書館から収集可能になります。
この新たなシステムの基盤として、イスラエルに本社を構えるEx Libris社のAlmaを採用します。Almaは電子時代の資料管理プラットフォームとして世界の多数の大学及びコンソーシアムで導入されています。
スケジュール:
2021年4月 システム導入の開始
2022年春 電子リソース管理サービスの運用開始
2023年冬 新NACSIS-CAT/ILLの運用開始
国立情報学研究所(NII)について
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は、情報学という新しい学術分野での「末来価値創成」を使命とする国内唯一の学術総合研究所です。情報学における基礎論から、人工知能、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)、情報セキュリティといった最先端のテーマまで、長期的な視点に立つ基礎研究、ならびに、社会課題の解決をめざした実践的な研究を推進しています。また、学術情報ネットワーク「SINET5」等の学術研究コミュニティ全体の研究や教育活動に不可欠な学術情報基盤の構築・運用、学術コンテンツやサービスプラットフォームの提供等の事業を展開•発展させ、事業を通じて得られた知見と学術研究から得られた知見を相互にフィードバックすることにより、最先端技術を利用した事業を行っています。
株式会社 紀伊國屋書店について
株式会社 紀伊國屋書店は昭和2年(1927年)に創業し、90年以上の歴史を持つ日本最大規模の書店チェーンです。外商部門は現在「営業総本部」として、北海道から沖縄まで日本全国に展開する28の営業拠点と専門部署5本部を擁し、国内外の書籍・雑誌・データベース・電子書籍の販売から、教育研究設備・備品の納入、図書館業務の受託まで、幅広い事業を行っています。
関連リンク
国立情報学研究所のニュースリリース
OCLC社のプレスリリース
ExLibris社のプレスリリース