2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、クラシック音楽業界も多くのコンサートが中止、大きな影響を受けています。このような前代未聞の逆境を、井上は「好機」とすべく、かねてから作曲していた自伝的オペラミュージカル「A Way from Surrender~降福(こうふく)からの道」の台本の改訂などに時間を費やし、5月には最終的に完成することが出来ました。
■新作オペラミュージカル「A Way from Surrender~降福からの道~」が完成 井上道義が数年の歳月をかけて台本・作曲を完成させた自伝的オペラミュージカル『A Way from Surrender~降福からの道」が遂に完成しました。舞台化の決まり2022年度末(2023年2月)の新日本フィルハーモニー交響楽団の定期公演会に登場する予定です。
<「A Way from Surrender~降福からの道~」あらすじ> 絵描きのタローは自分のアトリエである日、タローにしか見えない精霊(タローの祖母)が1枚の肖像画を掲げるのを見る。それは若き日のタローの両親、正義と廸子を描いたものだった。若い頃には日本からフィリピンへ逃避し、昼間から酒を飲み、女遊びしていた正義。そんな夫に、廸子は優しく手を差し伸べる。突如米軍からの砲撃が飛び交い、皆が逃げ惑う。傷を負った正義を助けようと、廸子は何と米軍の従軍医を無理やり連れてくる。 ところが、その頼もしい従軍医に惹かれたのか、廸子は従軍医と関係を持ってしまう。後に生まれたタローを見て、自分の子ではないと悟った正義は、家を出ようとする。しかし、かけがえのない存在である廸子の子であるタローを自分の子として育てる決意をする。 そして現在。昔の自分たちの肖像画を見て「あの頃は楽しかった」と振り返りながら真実を語る正義。しかし、戦争のつらさを語るタロー達に語る廸子。自分の出生の秘密を知ってタローは驚くが、正義がそれを隠していたのは愛ゆえだったと知る。それぞれの想いが昇華され、力強く生きていく未来を感じさせて幕が閉じる。