愛知学院大学歯学部では、日本口唇口蓋裂協会と共同して、口腔病理診断の教育・研修の援助や、歯科診療ボランティア活動をアジア各国で行ってきた。それに続き、2010年から2012年に、日本学術振興会(JSPS:Japan Society for the Promotion of Science)の助成を受けて「新世紀に向けたアジアにおける口腔病理学の標準化と専門医化動向に関する戦略的調査」を行った。その結果、マレーシアとスリランカは、口腔病理学の教育と口腔病理診断が行われているが、他の国では、口腔病理専門医の資格制度がなく、口腔病理学教育も行われていないケースもあることがわかった。
ASEAN諸国の都市部や高額所得者層では、歯科医療の需要が高まっており、日本の歯科医師免許が使用できるカンボジアでは、日本人による歯科医院が開設されている。インドネシアのバリでも、現地歯科医師との共同開設で歯科医院が開設されている。その一方、郡部に住むBOP(Base of the economic Pyramid)層は、ほとんど治療を受けられないのが現実である。