サラリーマンの不動産投資はアパートやマンションなどの賃貸経営だけではありません。
駐車場経営という選択肢もあります。
賃貸経営と比べて駐車場経営は「ローリスクローリターン」と言われています。
ローリスク : リフォーム代などの修繕費用の金額が少ない
ローリターン : 入金される金額が少ない
そこで、駐車場経営に必要な税金の知識を紹介します。
駐車場経営の形態とは
一口に駐車場経営といっても形態は大きく2つに分かれます。
月極駐車場 : 賃借収入を月単位で計算する
コインパーキング : 賃貸収入を時間単位で計算する
いずれの形態も自動車の駐車に対する収入ですが、税金の計算方法が違ってきます。
月極駐車場とコインパーキングの所得税の計算方法
結論から申します。両者では所得の種類が異なります。
月極駐車場 : 不動産所得
コインパーキング : 事業所得または雑所得
この違いによって、所得金額の計算にも影響を及ぼします。
※所得金額 = 賃貸収入 - 必要経費 - 青色申告特別控除(10万円または65万円)
青色申告特別控除の金額
1. 月極駐車場
不動産所得になるため、青色申告を申請すれば確実に青色申告特別控除の適用が受けられます。事業的規模かどうかに応じて実際に所得金額から控除できる金額は次のとおりです。
事業的規模の場合 : 65万円
事業的規模でない場合 : 10万円
月極駐車場の事業的規模であるかどうかを判断するとき、一般的に「自動車5台=アパート等1室」でカウントします。
事業的規模の条件を満たすために駐車場だけなら50台の駐車が必要になります。
2. コインパーキング
事業的規模かどうかで所得の種類は異なります。
事業的規模 : 事業所得
事業的規模でない : 雑所得
青色申告特別控除の金額は次のとおりです。
事業的規模の場合 : 65万円
事業的規模でない場合 : 適用できない(雑所得は青色申告が認められないため)
事業所得か雑所得の判断は下記の記事も参考にしてみてください。
副業起業家の確定申告でよくある「疑問」ベスト5に回答 やましい気がして、モヤモヤしていませんか?
損益通算の計算方法の違い
損益通算とは不動産投資での赤字の金額をサラリーマンの給与所得から控除できる制度です。
損益通算によって所得税が減額されるため、給料から天引きされた源泉所得税の一部を取り戻すメリットが享受できます。
月極駐車場とコインパーキングでは土地を購入するための借入金利子について、損益通算の計算方法が異なります。
1. 月極駐車場
不動産所得であるため、給与所得などの他の所得から控除することができません。
2. コインパーキング
事業的規模かどうかで損益通算の計算方法が異なります。
事業的規模 = 事業所得 : 損益通算できる
事業的規模でない = 雑所得 : 損益通算はできない
駐車場経営の税制面でのデメリット
駐車場は更地(土地)扱いされます。
そのため、優遇税制が適用されずに住宅用の賃貸経営より課税される金額が大きくなります。
固定資産税 : 住宅の3倍ないし6倍の課税
都市計画税 : 住宅の1.5倍ないし3倍の課税
相続税・贈与税 : 財産評価で減額できる特例が適用できないため税金対策で不利
駐車場経営は副業だけでなく、土地所有者の空き地を有効活用するのにも向いています。(執筆者:阿部 正仁)
情報提供元: マネーの達人